現役世代が困っているのに、なぜ?
ヤフーニュースのヤフコメ欄でも批判の意見が相次いだ。
社会学者で東京工業大学准教授の西田亮介氏は、本当の生活困窮者にこそ給付すべきだと書いている。「『新型コロナウイルスの感染拡大の影響による賃金低下が年金の支給額に及ぼす影響』を憂慮するなら、普通に賃金生活者における生活困窮者、家計急変世帯向け給付を中心に考えるのが筋」としたうえで、5000円給付の効果に疑問を投げかけ、「現役世代から批判を買わない程度の給付水準で、年長世代には『やっている感』を印象づけようとしている」と評した。
同欄で、若者の声を政治に届ける一般社団法人「日本若者協議会」代表理事の室橋祐貴さんは、与野党とも高齢者の票をあてにする現状に、「なぜ今現役世代が困っているのに、実質的に国債発行を増やしてまで、今の高齢世代を支援しなければならないのか意味不明です」と怒りを込めた。さらに、「これではただの選挙前の『買収』でしょう」「これを批判する政党がいなさそうなのが残念なところです。この国は、いつになったら、現役世代や将来世代を重視するようになるのでしょうか?」といった厳しい言葉が並んだ。
また、働きたいけれど働けずにいる若者の「自立」をサポートする認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓さんは「5000円」という給付額に注目した。それによると、シングルマザー支援では「ひとつの目標は5000円多く収入を得られることで、それがあればお米代になるという言葉もあります」として、「年金受給者のみならず、5000円で命が救われるひとたちもいるはずで、こういう申し入れが選挙前に出るのは心から残念です」と述べた。
たしかに5000円で救われる人が、年金生活者、現役世代を問わずにいることは認めるが、「5000円」という額が選挙に利用されることが残念でたまらない、というのであった。
(福田和郎)