散歩のついでに「ひと仕事」!?
さらに、リクルートには、「スキマ時間」に、近所で手軽な仕事を探せるスマホアプリ「エリクラ」がある。「エリクラ」では、マニュアルを読んですぐにでもできる仕事を、スキマ時間を活用して働きたい人材をマッチングする。
雇用者側は、「エリクラ」にお願いしたい業務を登録すると、物件の近隣に住むユーザーに、直で業務委託できる。
雇用者側は、仕事の効率化につながりそうだ。たとえば、不動産管理を手掛ける会社が、「マンションのエントランスの掃除を10分で500円」で、仕事を発注する。これまでは、社員が複数の物件を定期的に巡回し、1か所10分の掃除のため、多くの時間と労力と交通費をかけていた。だが、これを近隣に住むユーザーに依頼することで、不動産企業の社員は別の仕事に時間と労力を費やせる、というわけだ。
なお、報酬は、仕事が終わったあとに写真を撮って、アプリ上で「完了報告」すると、対価が支払われる仕組みだ。
働き手側にとっては、「スキマ時間」の有効活用につながる。たとえば、育児などを理由に会社や店舗が決めた時間で働けない人にとっては、働く時間をコントロールしやすくなる。また、仕事を引退したシニア層は、散歩ついでの「お小遣い稼ぎ」感覚で働けるかもしれない。多様な働き方への関心の高さの影響か、サービス開始直後の2019年11月時点と比べ、現在は働き手の数は2.3倍、仕事の数は5.1倍に拡大しているという。
リクルートの新規事業開発室「エリクラ」のプロジェクトオーナー、今里亮介(いまざと・りょうすけ)氏は、
「人手不足が叫ばれ続けている一方で、時間や場所、スキルの問題で、仕事探しを諦めてしまった働き手の方々がたくさんいることは事実です。そんな方々は、事業者が仕事のサイズを小さくして、わかりやすい業務の形にする工夫をすれば、積極的に働くことが検討できる場合が多いようです。『エリクラ』はそれを証明していると考えています」
と話し、多様化する働き方と雇用者側のニーズのマッチングを進めていく考えだ。