「さんさ踊り」が繋ぐ岩手との絆 感謝の思い込めて舞う日を待つ【震災11年 あしたへ】

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震災直後のメンバーたちの葛藤

復興支援イベントの出演前、控室で(2019年撮影)
復興支援イベントの出演前、控室で(2019年撮影)

――東日本大震災直後は、どのような様子だったのでしょうか。

長谷川さん「メンバーの家族や親類で被災された方がいました。また個人で、ボランティアや義援金など、復興支援に携わった方もいました。メンバーの気持ちを直接聞いたわけではないのですが、みんな、つらく悲しい気持ちを抱えつつ、故郷のために何かしたいと考えていたと思います。一方、当時の社会全体の自粛ムードもあり、大江戸さんさとしてどうするかについては、かなり悩みました。ブログに追悼とお見舞いの文章を掲載した後、当時の副代表と話し合い、メンバーにはメッセージ(方針)を発信しました」

――メンバーの方々とは、どのようなお話をされたのでしょう。

長谷川さん「これがメンバーへのメッセージです。


~~東北地方太平洋沖地震が発生し、2週間が経とうとしています。家族や友人が被災した方は、安否確認がとれるまで心配な日々を過ごされたと思います。あるいは周りにお亡くなりになった方がいて、心を痛めている方もいらっしゃるかもしれません。また、被災者の方々のために何かできないかと考え、行動された方も多いのではないでしょうか。
   大江戸さんさとしてブログに追悼とお見舞いの文章を掲載して以降、個人としてできることは何か、大江戸さんさとしてできることは何か、私なりに考えた結果、『個人でできることは個人で、大江戸さんさでなければできないことを大江戸さんさで行う』のが良いのではないかという結論に達しました。 個人でできることとしては、義援金や物資の寄付、節電、その他ボランティアなどがあるでしょう。しかし、長期間にわたり滞る可能性がある『人、物、お金』の流れについては、個人でどうにかできるものではありません。
   そこで、岩手県などと協力して、被災した県に人を呼び込めるようPRすること、また息の長い支援を呼びかけることなどが、大江戸さんさとしてできることなのではないかと思います。
   当面の活動方針は以下のとおりとしたいと考えています。

・大江戸さんさとして、募金やボランティアなどの活動は行わない(個人での活動を制限するものではありません)
・岩手県等と連絡をとり、復興支援やPRに関するイベントが開催される際は、会として積極的に(無償で)協力する(岩手県東京事務所とはすでに連絡を取り、できるだけ協力させてほしいとお伝えしています)
・練習は通常どおり行う

   練習再開については、時期尚早と考える方もいると思います。私も、当面は練習を自粛する方向で考えていました。でも、さんさ踊りを通じて東京から被災地を支援できるかもしれないという可能性を考えた時、犠牲者への弔意・被災者への思いやりを胸に、一所懸命稽古をすることも大事なのではないかと思い、4月からの練習再開を決めました。
   これらに関する意見は、人それぞれだと思います。だから、練習への参加や復興支援イベントへの参加を強制するつもりはありません。みんなが自分で判断し、参加・不参加を決めてください。
   賛成、反対、提案、相談など、いろいろな意見があると思います。コメントとして書いても、直接私に連絡してくれてもかまいません。みんながどう考えているか、教えてください~~


   この方針には賛否ありましたが、最終的には震災直後の4月から活動を再開することになりました。2011年~12年は東京都内で多くの復興支援イベントが開催され、岩手県や盛岡市だけでなく、さまざまなイベント会社や企業からご依頼をいただき、協力させていただきました。結果論ですが、早期に活動再開を決めてよかったと思っています」
JR上野駅でのイベントで(2019年2月撮影)
JR上野駅でのイベントで(2019年2月撮影)
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