きょうは50代のOさんがいらっしゃっています。
「最近、多様性や個を大切にする時代と言われていますよね。会社でも部下に対して『個を大切にするマネジメント』の必要性が求められています。しかし、『自分自身に対しては個を大切にできているのかな?』と振り返った時に戸惑いも感じています。」
日本の特有の「出る杭は打たれる」
日本には特有の慣習やルールがあります。なかでも「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、なるべく個性を出さないようにと、会社の中で過ごしてきた50代の方も多いかと思います。Oさんもそうではないでしょうか。
昭和の時代は出すぎてしまうと「子会社への出向」「地方への転勤」など、自分ではどうしようもできないような会社からの辞令が出る、ということもあったようで...(私のまわりでは体験したことがありませんが、今もあるかもしれませんね)。
同じ会社で長く働くようになると、だんだんと会社のルールに染まっていくのも仕方ありません。そこにいきなり「個を大切にする時代だ!」と言われても、戸惑ってしまいますよね。しかし、家族単位から個人を単位とする社会に変わりつつある日本では、時代の変化からも「個を大切」することがやっぱり重要です。
個を大切にする前に、「個」と向き合ってみる
Oさんは部下の育成のために、部下の「得意なこと」や「強み」などに向き合ってこられたと思います。多様性が求められる時代だからこそ、個(部下)に向き合うことが大事なんですよね。
そこで、Oさんもまずは自分自身に向き合ってみてはいかがでしょう。「個」に向き合うことは「個」を大切にすることにつながっています。会社の上司としての自分、プライベートでの「夫」や「父」などの役割を持った自分など、たくさんあると思いますが、まずはその役割を外して「個」に向き合ってみてください。
向き合ってみると「本当は好きではないこと」「目を背けていたこと」などたくさん出てくると思います。そこにそっと蓋をしないで、まずはその気持ちを大切にしてみましょう。
世の中の「当たり前」を疑ってみる
暮らしていると会社、社会の中には「~しなくてはいけない」「~すべきだ」などさまざまな暗黙のルールみたいなものがあると思います。長くその環境で過ごしていると、当たり前すぎて、違和感を感じないようになっていることもたくさんあるのではないでしょうか。
もちろん誰かに迷惑がかかることや法律を破ることはダメですが、ふと「考えてみたらおかしいな」と思ったら、一度スルーしてみてもいいと思います。
たとえば、共働きの女性などの場合、「ご飯は手作りではないといけない」「家事も完璧にすべきだ」のような考え方が昔はあったと思います。今は、宅配サービスや出張のお料理サービスもあるので、少しずつ世の中の考え方が変わってきていますよね。このように「当たり前」だと思っていたことを疑ってみてはいかがでしょうか。
企業もVUCA時代の現在では、これまでの常識が通用しなくなっています。そこで「個を大切」にして、変化に対応できる人材を増やしたいと考えています。そのためには誰もが「個」の考えを持つことが重要なんですね。
Oさんも定例の会議に対して「いつも報告だけで終わって質問もないし、1時間もやる意味あるのかな」と感じていたら、その意見を伝えてもいいと思います。それで会議が30分に減って問題がなければ、ほかのことに時間も使えますし、生産性も上がりますよね。
「個を大切にする」ということ自体は実は特別なことではなくて、本当に自分の気持ちに向き合ってみることだと考えてみるといいかもしれないですね。
(ひろ子ママ)