災害の教訓、忘れないで... 東日本大震災から11年 自治体との「災害協定」進むアクティオの取り組み

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災害時に最も困る「電気」を、オフグリッドシリーズで供給

   続いて登壇した、アクティオの上席執行役員 広報部長の進浩(しん・ゆたか)さんは、自社の災害支援の取り組み事例を紹介した。

   同社は、全国の自治体と「災害協定」を結んでいる(2022年2月末時点で304件)。災害などが起こると、ふだん自社で扱う発電機やバックホー(アーム先端に取り付けたショベルの向きがオペレータ側にある油圧ショベル)、車両やトイレやハウスなどの資器材を被災地に供給する体制だ。

アクティオ 上席執行役員 広報部長の進浩さん
アクティオ 上席執行役員 広報部長の進浩さん

   同社は、全国に支店19か所、営業拠点425か所、工場・センター数156か所におよぶ広いネットワークを持つことが強みだ。災害時は、全国から機械を被災地近くに集め、いったん大型工場に集約してから、必要な場所へ供給。場合によっては、足りない機材を購入して対応することもあるという。

   過去には、東日本大震災発生から1週間で発電機約2000台、バックホー150台、トイレ400機などを被災地に搬入した。2018年に西日本を襲った豪雨では、沿岸部の被災だったことから、鉄道に影響した。そこで、同社は鉄道復旧に必要なレールの上を移動できる「軌陸車」「軌陸ダンプ」を搬入、社員も応援にかけつけた。

   進さんによると、災害時の支援経験のなかで、多くの人が困っていたのは「電気」だという。この問題に対して、同社のオフグリッドシリーズ(平時は工事現場などで利用)が、被災地では電源供給に役立ちそうだ。

   オフグリッドシリーズには、「オフグリッドハウス」と「オフグリッドカー」がある。

アクティオのオフグリッドシリーズ(セミナーでの資料から)
アクティオのオフグリッドシリーズ(セミナーでの資料から)

   「オフグリッドハウス」は、太陽光パネルと蓄電システムを搭載したユニットハウスだ。太陽光で発電した電気は、室内の照明やエアコン、電源などに利用できる。設置したら、すぐにでも電力供給できるのが特徴だ。平時は、工事現場などでの仮設ハウスとして、作業員の休憩室などに利用されている。

   一方で、ユニークなのが「オフグリッドカー」。オフグリッドシステム(リチウムイオンバッテリーと300W仕様の太陽光パネル)を搭載したクルマである。「移動する事務所」として、平時では車内がすぐに仮設の現場事務所となり、複数の現場を掛け持ちする、移動の多い現場監督は重宝するようだ。

   ラインアップには、トヨタの「ハイエース」をベースとする「オフグリッドオフィスカー」、HONDAの「N-VAN」をベースとする「オフィスカー/軽バン」のほか、日産の「NV200」をベースとしたシンクやトイレ付きの「レストカー」などがある。いずれも、個人での利用含め、レンタルが可能。

   災害時は、「オフグリッドハウス」を活用することで、早期の業務再開を目指して、事業継続のための拠点事務所として利用できる。機動力のある「オフグリッドカー」ならば、移動式事務所や避難所としてはもちろん、通信やパソコンが必要な司令拠点として、スマホなどの充電基地として、バッテリーや電力を必要とする災害現場で存在感を発揮しそうだ。トイレ付きの「レストカー」などは、清潔なパウダールームとして安心に使用できる。

   備えあれば、憂いなし――。こうした選択肢があることを知るとともに、災害時を想定した準備がいまこそ必要だ。

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