トヨタの「一穴」を突いたサイバー攻撃 強さの象徴「かんばん方式」に盲点?

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サイバーセキュリティー対策、抜本的な見直しへ

   ここで疑問が浮かんでくる。サイバー攻撃を仕掛けた犯罪者は、小島プレス工業の生産を停止させれば、トヨタ全体の自動車生産を止められると知っていたのではないか――。

   トヨタは自動車を効率よく生産する手法を、協力企業の部品工場も含めて導入している。在庫を極力排除して、必要なタイミングに必要な分の部品を調達できる手法は「かんばん方式」とも呼ばれ、トヨタの「強さ」の象徴とたたえられてきた。だが、それはトヨタの要請どおりに部品が供給されるという前提に立っている。

   供給が1か所で滞っても別でカバーできるようにバックアップしていても不思議ではないが、小島プレス製の部品を他で代替できたかどうかは明らかになっていない。全面停止したのは、別にもサイバー攻撃を受けていないか一斉に確認するためだったのではないかと見る業界関係者もいるという。

   それでも、サイバー攻撃によってトヨタ全体の生産が丸1日にわたって停止したのは事実であり、日本の製造業に与えた衝撃は計り知れない。

   1台の自動車を生産するためには、数百社が関わっているとされる。サイバーセキュリティー対策には高い技術を有する人材と資金が必要であり、完成車メーカーや上場部品メーカーなどを除けば、企業の対策が万全とは言いがたい。

   今回のサイバー攻撃は、トヨタの「強さ」が逆に弱みとなることを浮き彫りにし、供給網全体のサイバーセキュリティー対策を抜本的に見直すよう迫っている。

(ジャーナリスト 済田経夫)

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