早くも始まったのか? ロシアの報復「サイバー攻撃」
さて、ロシアのデフォルトが世界と日本経済に与える影響はどのくらいのものか――。
「1998年のロシア通貨危機と2014年のクリミア併合時のルーブル大暴落に比べれば被害は少ないだろう」と分析するのは三菱総合研究所だ。「ロシアのウクライナ侵攻による世界・日本経済への影響」(3月9日付)のなかで、その理由をこう説明する。
「クリミア併合後、先進国の金融機関は、概ねロシア向け与信を償却可能な範囲に抑制している」「金融システム不安に発展する可能性は低い」「中長期的には、西側諸国からのロシア向け与信は一段と圧縮される方向に進むだろう」
三菱総合研究所では、ウクライナ侵攻による2022年の世界経済の下振れを、実質GDP(国内総生産)マイナス0.5%と試算。とくに欧州は、ロシアとの結びつきが強いことから、マイナス1.0%と影響が大きいが、日本はマイナス0.5%と、主要国のなかでは小さい。主にエネルギーや木材などロシアからの調達制約が影響している=図表3参照。
三菱総合研究所が心配するのは、ロシアからの「経済制裁」に加担した国への報復、なかでも「サイバー攻撃」の危険性だ。
「西側諸国の経済制裁に対するロシア報復措置のひとつとして、政府や企業に対するサイバー攻撃が想定される」「2021年には、米石油パイプライン運営会社へのサイバー攻撃により、米東海岸のパイプラインが一時的に操業できない事態に陥った」「2022年3月には、日本の自動車メーカーのサプライヤー1社へのサイバー攻撃により、メーカー全体の生産活動が1日停止し、経済影響が生じた」
これは3月1日、トヨタ自動車の系列部品会社がシステム障害を起こし、国内工場の複数ラインの稼働を停止したことを指すのだろうか。