「敵の敵は味方」、中国がロシア支援に踏み切る事情
同じくロシアがデフォルトに陥っても中国が救いの手を差し伸べるのではないか、とみるのは、第一生命経済研究所の主席エコノミスト西濵徹氏だ。 西濵氏のリポート「中国当局が目指す『経済の安定』の観点からみたウクライナ問題」(3月9日付)のなかで、今秋の共産党大会で異例の3期目入りを目指す習近平指導部としては、ロシアと手を結ぶ必要があると指摘した。
「政治の季節」が近づいており、ロシアのウクライナ侵攻は是認できないが、物価とエネルギー問題で不透明感が増す「経済の安定化」が何より重要だからだという。西濵氏はこう指摘する。
「今年1~2月の中国のロシアからの輸入額は、前年同月比プラス40.1%と高い伸びが続いているほか、ロシア向けの輸出額も同プラス41.4%と輸入同様に高い伸びで推移しており、中ロ間の経済的な結び付きが強まる」
「中国にとっては(中略)物価上昇が景気回復の足かせとなる懸念がくすぶるなか、食料安全保障及びエネルギー安全保障を担保する観点からロシアとの関係強化に動く可能性も考えられる」
そして、「欧米諸国とロシアとの亀裂が深まるなか、米中摩擦を抱える中国にとっては『敵の敵は味方』との論理を背景に、中ロが接近を一段と強める可能性はある」というわけだ。