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アマゾンが自前の物流網を拡大

「週刊ダイヤモンド」(2022年3月12日号)
「週刊ダイヤモンド」(2022年3月12日号)

   「週刊ダイヤモンド」の特集は「物流危機」。宅配大手の王者ヤマト運輸の悲鳴やアマゾン支配のその後など、物流産業だけではなく、小売、メーカーが直面している物流危機の現状をリポートしている。

   2017年にアマゾンと距離を置いたヤマトだが、19年には値下げに応じ、復縁していた。この間、何があったのか――。アマゾンは中小の物流会社をパートナーとし、自前の物流網を拡大、まるで物流会社かのような片りんを見せていた。

   さらに19年からは、個人事業主である軽貨物ドライバーと直接委託関係を結ぶ「アマゾンフレックス」も始めた。また、物流会社の下請けとして働いていた業者と直接業務委託契約を結び、自社の物流網にダイレクトに取り込む動きも始めた。

   アマゾンフレックスの報酬は月額39~44万円も可能とのことだが、仕事がきつく、フードデリバリーに個人事業主が流れている、という関係者の声を紹介している。

   アマゾンが日本で自前の物流網を構築し、巨大な「物流プラットフォーマー」になろうとしているいま、「和製アマゾン」の本命はどこかも探っている。

   楽天グループは16年に自社配送サービスをスタートしたが、21年に日本郵便と共同出資で物流会社の「JP楽天ロジスティクス」を設立。自前物流網の構築は挫折したかっこうだ。

   アマゾンの対抗馬として名前が挙がるのはソフトバンクグループだが、物流ビジネスを収益化する戦略がなく、物流のキーマンも退職し、「アマゾンの対抗馬となるには相当な覚悟が必要」と見られている。

   インターネット通販の本格展開に乗り出したのは、セブン-イレブン・ジャパン。店舗網を活用したサービスだが、現状では物流面で制約があるという。配達の中核を担うのは、宅配専用業者として発足した、セイノーホールディングスの子会社・ジーニーである。

   対象店舗を1200店まで広げたが、全店舗の半分にあたる8000店となると、より多くの「運び手」を確保しなければならない。それが可能なのか、または、セブン単独でやるのか、グループ共通でやるのか......。グループの将来がかかっているという。

   「ドライバー不足」が物流危機の根底にある。編集部は軽貨物ドライバーや労働組合などを取材し、宅配・デリバリー会社の人気を調べた。総じて働き方が柔軟で、報酬単価が高い出前館が1位。2位はウーバーイーツ。宅配大手の業務委託は、安定度は高いがコスパが悪く3位という結果になった。

   佐川急便の業務委託を請け負っていた時代は、月に70~80万円だったが、フードデリバリーに切り替えてから、稼働日数はほぼ同じでも、収入は月に60~70万円という人の例を紹介している。肉体的にも精神的にもラクだから、フードデリバリーを選ぶ人は多いという。

   自家用車での宅配解禁を求める声も出ている。それほど、危機は深刻なようだ。

(渡辺淳悦)

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