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M&Aの陰で活躍するファイナンシャルアドバイザーの役割とは

「週刊東洋経済」(2022年3月12日号)
「週刊東洋経済」(2022年3月12日号)

   さて、「週刊東洋経済」のメインの特集は、「ザ・M&Aマフィア」。企業買収の陰で活躍するプロたちの闘いにスポットを当てている。

   関西スーパーマーケット(現関西フードマーケット)に対して、ディスカウントストアのオーケーが買収を提案した案件の背景に、FA(ファイナンシャルアドバイザー)を務める證券会社をはじめ、弁護士、IR(投資家向け広報)会社、PR会社などが奔走していたことを取り上げている。買い手と売り手双方のバックについているM&Aマフィアの実態とは――。

   FAは専門家チームのまとめ役だという。「法務、財務、税務、国際関係といった知識はもちろんのこと、企業や投資家の心理的な部分まで理解していなければ、FAは務まらない」とはベテランFAの声だ。

   スキーム策定と価格算定、そしてチームをまとめるだけでなく、相手企業との交渉もする。売り手、買い手双方にFAがつき、交渉は基本的にFA同士が進めていく。

   具体的に、株を買い占められた東京機械の買収防衛策を成功させた弁護士とIR会社、PR会社の実例や、敵対的買収の駆け込み寺的存在になっている三田証券などを取り上げている。

   FAには証券会社から監査法人までが入り乱れている。大規模案件ではゴールドマン・サックス、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などが強い。コンサルティング会社もFA領域への攻勢を強めているという。

   M&Aの報酬はどうやって分配されているのか。大きな金額をFAと弁護士が受け取り、残りをIR会社、PR会社が分け合う。最も大きな金額を手にしているのがFAで、取引金額の数%を手数料で受け取る。

   これに対して、弁護士はタイムチャージ制で、個人単価に時間、人数を掛け合わせて決まる。取引成立の有無や案件の規模に左右されないので、安定している。

「日本のM&Aは欧米に比べて20年は遅れている。だから投資ファンドやアクティビストなど欧米勢のやりたいようにやられている」

   これは、ある投資ファンド幹部の指摘だ。コロナ禍が落ち着けばM&Aの増加は必至で、こうした「M&Aマフィア」の勢いはさらに増しそうだ、と結んでいる。

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