ビジネス誌各誌が予想する「ウクライナ侵攻」の影響は? 週刊エコノミスト「世界大動乱」、週刊東洋経済「M&A」、週刊ダイヤモンド「物流危機」も特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

  • M&Aの舞台裏に迫る(「週刊東洋経済」の特集から)
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ユーラシア2大国と欧米の新冷戦時代に

「週刊エコノミスト」(2022年3月15日号)
「週刊エコノミスト」(2022年3月15日号)

   ロシアのウクライナ侵攻を受けて、各誌とも特集や緊急リポートを掲載している。その中から注目すべき論考、リポートを紹介しよう。

   なかでも大々的に特集を組んだのが「週刊エコノミスト」(2022年3月15日号)で、「緊急特集 ロシア暴走が招く世界大動乱」を取り上げている。

   冒頭で、福富満久・一橋大学大学院教授は「ユーラシア2大国と欧米の新冷戦時代」に突入した、という大局的な見方を示している。ソ連崩壊後、「リベラル自由主義」が主導してきた30年間の「平和」が終わりを告げ、国際社会は新しい時代に入ったというのだ。

   新冷戦で、中国とロシアというユーラシアに位置する2大勢力の台頭は、「西側」に好きなようにやられてきた中東、中南米、アフリカ、アジアの多くの国に「歓迎」されるだろうと見ている。世界は欧米一辺倒ではないという認識は新鮮に映る。

   冷戦時代は悪いことばかりではないという、一見常識に反した説にも触れている。

   米ソ冷戦時代は、冷戦崩壊後の30年と比べても、2度の大戦期や大戦間期と比べても兵士と民間人の死者数は格段に少なかった(J・ミアシャイマー氏の指摘)。2勢力が拮抗する方が、逆説的に安全だということを示唆するものだ。

   日本は、今回のロシアによるウクライナ侵攻と同じ戦略を使って、中国が台湾に侵攻する可能性を考えながら、外交を組み立てる必要がある、としている。

   アメリカのバイデン大統領は9日、ロシア産原油の輸入禁止措置を発表した。岩間剛一・和光大学経営学部教授は、「今春には原油価格が1バレル=150ドルを超える価格上昇も現実味を帯び、世界経済に深刻な影響を与えることが懸念される」と書いている。

   LNG(液化天然ガス)の輸入の1割弱をロシア産に依存している日本は、ロシアでのさまざまな天然ガスプロジェクトに参加しており、途絶すれば影響は大きい。日本を含め各国は「脱炭素を進める余裕はなくなり、エネルギー調達政策を抜本的に見直す必要がある」と見ている。

   「週刊ダイヤモンド」(2022年3月12日号)も緊急特集で、ウクライナ侵攻で始まる、ロシアへの経済制裁、資源価格の上昇、グローバルインフレ加速、主要国の景気下押しというドミノによる世界経済減速の影響を予測している。

   原油価格が史上最高値水準の1バレル=140ドルで推移した場合、アメリカの消費者物価上昇率は、一時的には10%を超える可能性も出てくるという。

   「ロシアとウクライナの間の緊張が長期化し、資源高が継続すれば、主要国の中で日本株が最も底堅い」という大川智宏・智剣・OskarグループCEO兼主席ストラテジストの見方を紹介。底値は2万5000円、円は110円台半ばかと予想している。

   「週刊東洋経済」(2022年3月12日号)も緊急リポートを特集した。ロシアに対する経済制裁の影響などを識者に尋ねている。

   中島真志・麗澤大学教授は、「ロシア中央銀行への制裁は即効性を持ち、国際的な金融情報通信ネットワークであるSWIFTからの排除による影響よりも大きいのではないか」とした。

   菅野泰夫・大和総研ロンドンリサーチセンター長は、ロシアからの資本逃避がすでに起きているとしたうえで、制裁は欧州経済にとっても打撃であり、「さらに厳しい制裁を発動することは、難しいのではないか」と見ている。

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