ロシアへの経済制裁でジワジワと追い込まれる欧州の苦悩 SWIFTに続き、原油禁輸も...【ウクライナ侵攻】

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ロシア原油禁輸なら1バレル=300ドル超!?

   これに驚いたのが欧州だ。ドイツのシュルツ首相は7日発表した声明で「欧州はロシアのエンルギー供給を制裁対象から外している」と明かし、米国が突如打ち上げた原油禁輸策に戸惑いを隠さなかった。

   英独仏の首脳は7日、バイデン米大統領と4首脳の電話会談を開催。ホワイトハウスの声明では、4首脳はウクライナ支援の強化で一致したとしたものの、原油禁輸に関する内容はなかった。

   ロイター通信によると、会談でバイデン米大統領は欧州の賛同が得られなくても米国単独で禁輸措置に踏み切る意向を示した模様だ。煮え切らない欧州に「最後通牒」を突きつけた格好だ。

   欧州が対応に悩む背景には、ロシア依存の急速な方向転換が難しい事情がある。ウクライナ危機を受けて、欧州は資源の調達先の分散などに取り組んでいるが、対応には時間がかかる。原油の即時禁輸に踏み込めば、電力需要期である冬場のエネルギー供給が重大な影響を受け、域内に混乱が広がる事態は避けられない。

   そんな欧州の足元を見透かすかのように、ロシアのノバク副首相は7日、「(禁輸措置に踏み切れば)原油価格は1バレル=300ドルを超える。市場に破滅的な結果をもたらす」と警告した。さらに、禁輸が実行されれば「ロシアは対抗措置を取る権利がある」として、欧州向けの海底パイプライン「ノルドストリーム」を通じたガス輸出を停止する可能性に言及した。欧州に圧力をかける狙いは明白だ。

   ウクライナを危機から救うため、「返り血」覚悟でロシアに対する圧力をさらに強めるのか。それとも自分たちの事情を考慮して対ロ制裁の足並みを乱してでも経済制裁に手心を加えるのか。

   米国の原油禁輸方針を受け、すでに原油相場は1バレル=140ドルという13年ぶりのレベルに高騰している。欧州は難しい決断を迫られており、それが、激しい戦火を交えるロシアとウクライナの戦いの行方にも大きな影響を与える可能性がある。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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