起床後3時間の「脳のゴールデンタイム」に注目を! 仕事と人生豊かにする「時間テクニック」とは?

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   いつも「時間がない」と思っている人は多いだろう。本書「時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本」(朝日新聞出版)は、自分らしい時間の使い方を提案している。時間についての価値観を見つめなおすことで、有意義な人生を送るヒントを得られるかもしれない。

「時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本」(二間瀬敏史・吉武麻子監修)朝日新聞出版
  • 物理学から「時間」に迫った一冊!
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コロナ禍で変わった時間の使い方

   時間についてのハウツー本かと思ったら、少し趣きが変わっていた。

   なんとまず、物理学から「時間」に迫っているからだ。それもそのはず、監修者の一人、二間瀬敏史さんは京都産業大学教授の宇宙物理学者。アリストテレス、ニュートン、アインシュタインらを紹介し、人類が時間の概念をどうとらえてきたのか、わかりやすく解説している。

   もう一人の監修者である吉武麻子さんはタイムコーディネーター。「時間のとらえ方を変えると人生も変わる」として、時間についての固定概念を取り払ってみよう、と提案している。

   「時間は効率よく、有意義に使うべきだ」と信じて疑わなかったが、コロナ禍でそうした考えに変化が生まれた、と指摘している。

   思えば、働き方や時間の使い方はかなり多様化した。早起きして午前中のうちに仕事を終わらせ、午後はのんびりと読書や動画配信を楽しんだり、午後6時には家族で夕食を囲んだりと、時間の使い方が大きく変わった人も少なくない。

   これまで忙しく過ごしてきた人の中にも、「心地よい時間を過ごしたい」「効率よりも充実を大切にしたい」と考える人が増えてきたという。

   「価値ある時間」とは、「非効率の中での学びや気づき」「余白が生む豊かさ」「初めての体験がもたらす時間の流れ」の中にあるかもしれない、という考え方は新鮮だ。

朝目覚めてからの3時間は「脳のゴールデンタイム」!

   本書ではまず、「仕事と時間術」に1章割いている。会社員なら、やるべきことをリストアップして、優先順位をつけてから着手するのが基本だ。優先順位は、「緊急性」と「重要度」を軸に決め、緊急性と重要度が最も高い仕事を優先する。

   ToDoリストを書き出している人も多いだろうが、タスク管理の方が大切だ。ToDoリストは一目で見ただけでは優先順位がわからないため、何から取り掛かるのかをあらためて組み立てなければならず、時間のロスになる。一方、タスク管理は期限もいつやるかも決まっているから、目標達成率も上がる。

   タスクは1~5年の長期目標を設定、1週間~1か月の短期目標に落とし込む。最後に、目標達成に向けたモチベーションを維持し、長期目標のステップとなる「中期目標」を決めるのがコツだ。

   そのうえで、タスクの管理のためガントチャートを作り、仕事を「見える化」することを勧めている。エクセルで自作するほか、ガントチャートアプリは使いやすいだろう。

   一方で、世界的ベストセラー「7つの習慣」で紹介されている「時間管理のマトリックス」でいう「緊急ではない、重要なこと」に取り組むことが、やはり重要だ。それらを放っておくと、やがて「緊急性が高く、重要度も高いこと」になってしまうからだ。緊急性が低いうちにスケジュールに組み込み、着手していくことが大切だ。

   「緊急ではない、重要なこと」に取り組むうえでは、いつ、何をするかで仕事の成果が変わる。効率的な仕事の割り振りをするためには、1日の仕事を配分しよう。1時間単位ではなく、15分単位で区切るのがベストだという。人間の集中力は1時間続かないためだ。

   朝目覚めてからの3時間は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれるそうだ。

   集中力が続く午前中は30分、45分かかる仕事をする。30分ごとに5分休憩するのが理想だ。昼食後は、難易度の低い仕事をする。食事の後は眠りなりやすいので、昼間のパフォーマンスを上げるには質のよい睡眠が必須だ。また、夕方4時から夕食までの時間は再び脳が活発になるので、集中タイムを作り、一気に仕事を終わらせたい。

リモートワークの時間の使い方...やってはいけないことは?

   コロナ禍でリモートワークをしている人は「時間のメリハリ」がつけにくくなる。集中して、オーバーワークにならないように、働く時間をコントロールすることが大切だ。具体的に、

・1日のうちで最も生産性の高い起床後3時間に仕事をする
・普段の通勤時間にタスクを1つ片づける
・夜は仕事をしないと決意する

とアドバイスしている。

   反対にしてはいけないこととして次の行動を挙げている。

・好きな時間に起床し、始業時刻も終業時刻もバラバラ
・ついスマホに手を伸ばす
・昼食のあと、いつまでたっても仕事に戻らない
・仕事より先に家のことをする

   ちなみに、「仕事」だけではなく、「生活」にも1章割いているのも特徴だ。「好きではない」家事タスクにかける労力を減らすコツや、家事のルーティン化でムダな時間を減らす方法を紹介している。

    ルーティンをラクにするには、家事やモノを減らすミニマム化、ロボット掃除機など便利アイテムの活用、家事代行サービスなど有料サービスの導入も提案している。

   最終章「人生と時間」では、行動と行動の継続が望む時間への近道だとして、小さな時間の積み重ねの重要さを説いている。

   時間の過ごし方を見直すことで、仕事や人生についても新しいとらえ方ができるかもしれない。たくさんのヒントが詰まった本だ。

(渡辺淳悦)

「時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本」
二間瀬敏史・吉武麻子監修
朝日新聞出版
1430円(税込)

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