いつも「時間がない」と思っている人は多いだろう。本書「時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本」(朝日新聞出版)は、自分らしい時間の使い方を提案している。時間についての価値観を見つめなおすことで、有意義な人生を送るヒントを得られるかもしれない。
「時短・効率化の前に 今さら聞けない時間の超基本」(二間瀬敏史・吉武麻子監修)朝日新聞出版
コロナ禍で変わった時間の使い方
時間についてのハウツー本かと思ったら、少し趣きが変わっていた。
なんとまず、物理学から「時間」に迫っているからだ。それもそのはず、監修者の一人、二間瀬敏史さんは京都産業大学教授の宇宙物理学者。アリストテレス、ニュートン、アインシュタインらを紹介し、人類が時間の概念をどうとらえてきたのか、わかりやすく解説している。
もう一人の監修者である吉武麻子さんはタイムコーディネーター。「時間のとらえ方を変えると人生も変わる」として、時間についての固定概念を取り払ってみよう、と提案している。
「時間は効率よく、有意義に使うべきだ」と信じて疑わなかったが、コロナ禍でそうした考えに変化が生まれた、と指摘している。
思えば、働き方や時間の使い方はかなり多様化した。早起きして午前中のうちに仕事を終わらせ、午後はのんびりと読書や動画配信を楽しんだり、午後6時には家族で夕食を囲んだりと、時間の使い方が大きく変わった人も少なくない。
これまで忙しく過ごしてきた人の中にも、「心地よい時間を過ごしたい」「効率よりも充実を大切にしたい」と考える人が増えてきたという。
「価値ある時間」とは、「非効率の中での学びや気づき」「余白が生む豊かさ」「初めての体験がもたらす時間の流れ」の中にあるかもしれない、という考え方は新鮮だ。