みなさん、こんにちは。馬医金満です。
2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。当初の想定どおり、軍量ではロシア側が勝っている一方、補給不足や兵士の士気の低さもあり、ウクライナ側が善戦しているという構図となっています。28日の停戦交渉もうまくいかず、なにやら長引く気配が漂ってきました。
ウクライナ情勢について、ビジネス的な観点での影響について考えてみました。
エネルギーや食品価格の上昇でインフレ懸念
ロシア軍によるウクライナ侵攻という、この戦争状態が長期化した場合、ビジネスへの影響はどうなるのでしょう――。
まずは、エネルギー問題です。ヨーロッパは液化天然ガス(LNG)の40%と、石油の25%をロシアから輸入しており、すでに光熱費が急騰しています。LNGの備蓄はすでに能力の3分の1を切っており、今後、欧州各国がエネルギー確保に動くことは確実です。
また、長期的には「脱炭素」社会への取り組みへの影響も懸念されますから、原子力発電を含めた発電ポートフォリオの再考にもつながることが考えられます。
食品価格の高騰も、焦点になると考えています。国際連合の直近の報告によると、食品価格は主にパンデミックによるサプライチェーンの混乱で、10年超ぶりの高値となっています。
ロシア、ウクライナともに世界有数の小麦生産国であり、ウクライナと合わせると世界の小麦輸出量の4分の1を占めるといわれています。この中にはエジプトとトルコのように、小麦輸入の70%以上をロシアとウクライナに依存する国も存在しているのです。そのような国では今後の(おそらくは急激な)物価上昇が懸念されます。
「経済」で世界はつながっている
注目されるのは、半導体です。ウクライナは米国の半導体製造に使われているネオンの90%以上を供給しており、ロシアは米国で使われるパラジウムの35%を提供するなど、ロシアとウクライナは半導体の原料大国となっています。
米国をはじめ半導体製造の各国は、ロシアとウクライナからの輸出減少を見越した貯蓄を行っていますが、長期的な輸出制限が加わると先行きは不透明となります。
軍事力にモノを言わせてウクライナに侵攻するロシアを止めるため、欧米や日本がとっている制裁措置によって欧米や日本も、それはそれで少なくない「返り血」を浴びることになるわけです。
もう、世界のどこの国が戦火に巻き込まれても、日本だけが無傷というわけにはいかない。世界中が文字どおり、グローバルな経済でつながっていることを思い知らされます。
では、また!
(馬医金満)