「恋バナがいつのまにか儲け話に......」
「恋は盲目」とはよく言ったもので、婚活やデートが目的の出会い系サイトやマッチングアプリで知り合った相手から、投資話を持ち掛けられて大金をだまし取られる被害が急増している。
国民生活センターは2022年3月3日、「ロマンス投資詐欺が増加しています! ~その出会い、仕組まれていませんか?~」という緊急リポートを発表、警鐘を鳴らした。
しかも、直接会ってもいない相手から数百万円も騙し取られるという。いったい、なぜ?
被害に遭うのは「婚活世代」に多い
国民生活センターによると、「ロマンス投資詐欺」の被害は近年急増中だ。出会い系サイトやマッチングアプリをきっかけとする投資詐欺への相談は、2018年度には2件だったのが、2021年度(12月末まで)は170件と、80倍近い伸び率だ=図表1参照。被害に遭うのも「婚活世代」と言われる30歳代、40歳代が全体の8割近くを占める。また、男性のほうが多く、女性の1.5倍ほどだ。
出会い系サイトなどで罠を仕掛けてくる相手というのは「アジア系の異性」を名乗ることが多いようだ。そして、何度か通話アプリでやりとりを繰り返し、仲がよくなった頃合いを見計らって「儲け話」を持ちかけてくる。
投資方法には暗号資産(仮想通貨)がよく使われる。被害者が躊躇していると、「2人の将来のために」などと「愛」をチラつかせて、最初は少額を投資させる。被害者が深みにはまり、ドーンと大金をつぎ込んだ時に根こそぎ巻き上げる寸法だ。「投資を勧められたら必ず詐欺を疑え」は鉄則である。
国民生活センターによると、こんな事例が相次いでいる。
【事例1】投資金の利益を出金しようとすると、所得税を支払うように要求された
マッチングアプリで連絡を取り始めた男性から、「暗号資産取引で儲けさせてあげる」と誘われ、指示された英語表記の投資サイトに口座を作った。やり取りはLINEで行った。初めは、少額を入れると利益が出て、銀行口座に引き出せた。
さらに、消費者金融から借り入れ、複数回に分けて毎回別の個人名義の銀行口座に振り込んだ。取引後、利益を投資サイトの口座から自分の銀行口座に振り込もうとすると、サイトで得た利益約1400万円相当に対し19%の個人所得税(約270万円)を送金するよう投資サイトから連絡があった。期限内に納付しないと、毎日滞納金が追加されるとも連絡があった。(2021年11月・20歳代女性)