ロシアの対外輸出が滞れば、国際経済も返り血
ウクライナ侵攻を虎視眈々と狙ってきたプーチン政権は、SWIFTからの排除を避けるためさまざまな手を打ってきたはずだった。
欧州にまで天然ガスのパイプラインを伸ばし、ロシアに対する欧州のエネルギー依存を高める一方で、独自の国際決済システム「SPFS」の運用を開始。中国が運用する人民元による決済システム「CIPS」とも連携を深め、SWIFT排除の打撃を最小限にとどめる方法を模索してきた。
ロシアのウクライナ侵攻当初は、天然ガス輸出の半分をロシアに依存するドイツなどが自国経済への影響を恐れてSWIFT排除に慎重な姿勢を示すなど、事態はロシアの思惑通りに進むかに見せた。
しかし、ウクライナの被害が伝わり国際的なロシア批判の高まると、ドイツなどは態度を一転。SWIFT排除に踏み切った。
頼みのSPFSも現在は大半がロシア国内の利用にとどまっているとみられ、SWIFTの代替機関となるには力不足だ。
ロシア経済への打撃はもはや不可避という状況だが、原油を含めエネルギー大国でもあるロシアの対外輸出が滞れば、原油のさらなる高騰などのかたちで国際経済も返り血を浴びることになる。
SWIFTという最終手段は、ウクライナを救うことにながるのか。その成否はロシア、世界経済のどちらがその悪影響に耐えられるかにかかっているといえそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)