近年、就活市場で「第二新卒」が台風の目のような存在になってきた。若者の転職が珍しくなくなってきた今、本人はもちろん、採用する企業側にもメリットが大きいからだ。
そんな「第二新卒」が「入ってよかった!」と高く評価する企業はどこか。就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するOpenWork働きがい研究所が2022年2月21日、「第二新卒が選ぶ、待遇と成長が両立する企業ランキング」を発表した。
「新卒」より少し社会経験を積み、目の肥えた彼らが後輩に勧めたがる企業は、どんな魅力を持っているだろうか。現役社員のクチコミから探ると――。
1位の「野村総合研究所」...30歳前後で1000万円到達
「第二新卒」とは、学校を卒業して企業に就職したのち、1~3年以内に転職をする若者を指す。フレッシュな点ではほぼ「新卒」と変わらないため名付けられた。一度就職していることから「基本的なビジネスマナー」を持ち合わせているため、新卒を一から育てる時間を割けない中小企業やベンチャー企業などでは、「第二新卒」を積極的に採るケースも多い。
企業側にとって前の会社にあまり染まっておらず、新しい環境になじみやすいことも魅力だ。第二新卒側からのメリットは、新卒での就活よりライバルが少ないこと、さらに学生時代より社会人としての経験がある分、自分にマッチする企業を見つけやすいことがあげられる。
今回のランキングは、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先の企業や官庁など職場の情報を投稿する、国内最大規模のクチコミサイト「OpenWork」(会員数は約450万人 2021年12月時点)に投稿された中途入社の20代現職社員による会社評価レポート約3万件をもとに、「待遇の満足度」「20代成長環境」「人材の長期育成」に関する評価点が高い企業を20社選んだ。
その結果、1位は日本最大級のコンサルティング会社の野村総合研究所。続いて、2位は米クラウドコンピューティングサービスのアマゾンウェブサービスジャパン、3位は米コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループ、4位は米クラウドコンピューティングサービスのセールスフォース・ドットコム、5位はトヨタ自動車となった=図表参照。
若手転職経験者にとって、待遇がよく成長を求められる企業にはどういった特徴があるのだろうか。詳しく見ていこう。
1位の野村総合研究所は、同社のキャリア採用サイトによると、正社員に占める中途入社者の割合は約3割で、新卒入社が約7割を占める。一見、新卒至上主義に見える構成だが、「第二新卒」のクチコミからは、高い給与に加え若手に対する家賃補助といった福利厚生面の手厚さ。また、成長や育成面では、プロフェッショナルとして任される文化であること、充実した研修制度を評価する声が見られた。まず待遇面ではこんな声があげられた。
「年収950万円。横並びで昇級していき、大体30歳前後で1000万円に到達する。ボーナスの割合が高い。学卒3年目、院卒2年目になると残業代は見込みになり、支給されなくなる。家賃補助制度があり月6万円支給される」(エンジニア、女性)
「年収1080万円。月給は低めに抑えられており、年収に占める賞与比率が高い。基本的には年功序列であり、中途も基本的にはプロパー入社年次相当の待遇での入社となっている模様。副主任昇格前までは月6万円の家賃補助がある」(経営コンサルタント、男性)
また、成長・育成面ではこんな声が相次いだ。
「プロフェッショナルとして(収入の)単価なりの専門スキルを求められます。若手でも現場に即投入され、キャリアの長い年上の顧客と相対する場が与えられます。また、社内外と連携して仕事する機会が多いため、調整力やコミュニケーション力が求められます」(システムエンジニア、女性)
「自分自身で考えながら、進めることができるうえ、プロジェクトさえうまくいっていれば評価してもらえるので、よけいな忖度などが不要。よって、技術だけで食っていきたい人には最適だと思う」(アプリケーションエンジニア、男性)
「研修は多く、留学制度や海外トレーニー制度なども充実してある。グローバルに活躍をしたい場合は、積極的に手を上げることにより、 多様なチャンスがあるともいえる」(コンサルタント、男性)
「人材の長期育成に力を入れており、社員1人当たりにかける研修費は競合他社と比べてもトップクラスの金額。40万円くらいだったような。ただ、タスクは次から次に降ってくるので、タスクに埋もれることなく、成長機会を自ら取りに行くという姿勢がないと厳しい」(システムエンジニア、女性)