経営者は「稼ぐ力」身に着けてほしい
――つまり、健全企業が増えたからゾンビ企業が減ったというわけではないのですね。
原田さん「そのとおりです。今回のコロナ禍でも政府は手厚い中小企業支援を行い、日本銀行は依然として金融緩和を続けています。そのため、豊富な金融機関の支援で昨年(2021年)の企業倒産は6030社(前年比22.4%減)と、57年ぶりの低水準を記録しました。企業独自の努力の結果というより、政府と日銀の両方向からの支援で生きのびた企業が多いはずです。
しかし、東京商工リサーチが昨年12月に行った企業アンケートでは、『事業再構築など新たな取り組みを実施する予定』と答えた企業は2割にとどまります。資金繰りの支援が、中小企業経営者に目を覚まさせる妨げになったのは事実です。リーマン・ショック時に野ざらしにされた構図と、コロナ禍の構図はまったく同じです」
――2023年春には日銀の黒田東彦総裁の任期が切れて、異次元の金融緩和が終わる、とも言われています。金利が上がったら大変ではないですか。ゾンビ企業にとって正念場ですね。
原田さん「経営者は自分の企業が外部からどう評価されているのか、金融機関の本当の格付けはどうなのか、気づいてほしい。資金繰りだけでなく、経営改革のためのスキームを利用して、本当の『稼ぐ力』を身に着けるために、ぜひ経営コンサルタントのもとを訪れてほしいものです」
(福田和郎)