リーマン・ショック時から深刻になったゾンビ化
さて、東京商工リサーチのリポートによると、興味深いことに日本ではゾンビ企業は減ってきている、というのだ。ただし、日本にどれだけの「ゾンビ企業」がいるかは、正確な統計があるわけではない。そこで、東京商工リサーチがさまざまな角度から分析と推測を試みている点が、今回のリポートのキモなのだ。
日本企業のゾンビ化は、2008年のリーマン・ショック時から深刻になったという。2009年12月に中小企業金融円滑化法が施行され、困窮した中小企業の金融機関への返済猶予や金利減免が行われ、返済負担が減った。
金融円滑化法を申し込んだ件数は、2013年までの同法終了までに延べ437万件に達したが、1社で多くの金融機関に申し込んだため、実際に活用した企業数は不明だった。しかし、東京商工リサーチでは独自の取材によって約30万社と発表した。
政府は、経営コンサルタントなどで組織する中小企業再生支援協議会などをつくり、困窮した中小企業の経営改善に努めた。もっとも、なんとか資金繰りを果たした多くの中小企業はそこに足を運ばなかった。結局、ゾンビ企業とその予備軍が「野ざらし」となったまま約10年が経過し、こうした企業への抜本的対応ができないまま、コロナ禍に見舞われたわけだ。