ロシア、ウクライナ侵攻で世界経済暗雲! エコノミストが指摘するプーチン大統領に「経済制裁」効かない理由とは

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突発的な「9.11テロ」に比べ、市場は準備ができている?

   こうした悲観論が多いなか、今後の金融市場を比較的楽観視しているようにみえるのが、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジストの石黒英之氏だ。

   石黒氏のリポート「ウクライナ情勢緊迫化と株式市場」(2月21日付)では、過去の有事である2001年「9.11同時多発テロ」、2003年「イラク侵攻」、2014年「ウクライナ紛争」(ロシアのクリミア侵攻)時の株価の動きと今回とを比較している。

「『9.11テロ』は突発的に発生したこともあり、株価は急落しました。一方、『イラク侵攻』や『ウクライナ紛争』時は事前に市場が同イベントに備えていたこともあり、(中略)株価に与えた影響は限定的でした=図表3参照
(図表3)過去の有事イベント後の米市場株価の動き(野村アセットマネジメント作成)
(図表3)過去の有事イベント後の米市場株価の動き(野村アセットマネジメント作成)

   その当時の世界経済情勢に目を向けると、「9.11テロ」時は前年のITバブル崩壊で低迷していた。しかし、「イラク侵攻」と「ウクライナ紛争」時は堅調だった。そのために、株価への影響が限られた側面もある、と石黒氏は指摘する。だからなのか、

「2022年は近年と比べ高い経済成長率が見込まれており、仮にロシアに対し経済制裁などが科されても、株式市場はそれを乗り越えられるだけの環境にあると考えられます」

と、結んでいるのだが......。

   2月24日の米ニューヨーク証券取引所のダウ工業平均株価は、前日に引き続き464ドル安の大幅な下落。東京証券取引所の日経平均株価も5日続落、終値は前営業日478円安の2万5970円と、ついに2万6000円台を割り込んでいる。

(福田和郎)

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