コロナ禍で働く人のストレスは増えたのか、どうなのか――。人材サービス事業のヒューマネージ(東京都千代田区)は、企業で実施されたストレスチェックの分析結果を2022年2月21日に発表した。
経年データに基づく、約55万人という大規模なストレスチェックだ。コロナ禍1年目(2020年=19年12月~20年11月)と、コロナ禍2年目(2021年=20年12月~21年11月)のストレスチェックの結果(医師による面接指導の対象となる「高ストレス者率」の割合)を年代別に比較した。
在宅勤務、出社、ハイブリッド...ストレス少ない働き方はどれ?
調査の結果、すべての年代で「高ストレス者率」が増加した。ストレス状態が「悪化」したわけだ。とくに、若い世代ほどその傾向が強かったようだ=図表1。なお、同社によると、この結果は、高ストレス者の「減少」がみられたコロナ禍1年目とは、異なる結果だったという。
また、新型コロナウイルスの感染拡大は、働き方にも影響を与えた。働き方の変化にともなって急速に広まったテレワークの影響も分析。それによると、「在宅勤務」群と「出社」群に分けて、ストレスチェックの結果を比較したところ、「ストレス反応(ストレスによっておこる心身の反応)」は、「在宅勤務」群の得点が悪かった。在宅勤務のほうが、ストレス状態が悪いというわけだ。
さらに「出社」群について、「出社(週1回以上)と、在宅勤務を組み合わせた『ハイブリッド出社』」群と、「原則出社のみ、在宅勤務はできない『フル出社』」群とに分けて分析。(1)「フル在宅勤務(在宅勤務のみ)」、(2)「ハイブリッド出社(出社+在宅勤務)」、(3)「フル出社(出社のみ)」の3群で比較した結果、この中では「ハイブリッド出社」群のストレス状態が最も良好、つまりストレスが少なかったのだったという=図表2。
この調査から読み取れることとしてヒューマネージは、
「一般にストレス反応は、まず『活気(のなさ)』が自覚され、しばらく続くと『イライラ感』『疲労感』が出現し、次いで『不安感』『身体愁訴』が現れ、最後に『抑うつ感』が現れると言われている。
(1)『フル在宅勤務』群と、(3)『フル出社』群は、『ストレスによっておこる心身の反応』は同程度であるが、(2)『フル在宅勤務」群は、よりレベルの高い『抑うつ感」『身体愁訴」の状態が悪く、注意が必要と言える」
と考察。また、調査を総括して、次のようにコメントしている。
「コロナ禍と呼ばれるこの2年間は、あらゆる経営者が『自社にとって、最もよい働き方(働かせ方)』を模索する2年間でもありました。残念ながら、新型コロナウイルスの流行はしばらく続く見込みで、冒頭にご紹介した通り、働く人々のストレス状態の悪化が懸念されます。そのようななか、出社と在宅勤務を組み合わせた『ハイブリッド出社』という働き方は――もちろん業種や職種等により、可能・不可能はありますが――社員の心身の健康を維持する施策として、ひとつの解といえそうです」
なお、分析対象としたのは、同社のストレスチェック「Co-Labo」(「職業性ストレス簡易調査票」+独自設問が追加された調査票)。調査時期は2020年(19年12月~20年11月)と2021年(20年12月~21年11月)。対象者は56万7004人。