コロナ禍で医療保険への加入が急伸
「週刊東洋経済」(2022年2月26日号)の特集は、「保険見直しの鉄則」。コロナ禍で医療保険への加入が急伸した。本当に必要な保険とは何か。商品の見直しから生保各社の経営、営業のあり方まで取り上げている。
最初に、2021年に金融庁が改訂した保険会社向けの監督指針について説明している。民間の生命保険は、あくまで「公的保険(制度)を補完する」ものだということだ。
「高額療養費制度」によって、自己負担額は減る。仮に、100万円の医療費がかかっても、自己負担額は15万円など本来の半分程度の水準に抑えることができる。公的保障で不足する分を民間の医療保険で補うというスタンスで十分だという。
一方、コロナ禍で自宅療養であっても入院扱いとして保険金が出たことで、民間の医療保険の恩恵を感じた人も少なくない。医療保険、がん、引受基準緩和形、就業不能、認知症保険という5大商品について、良商品をランキングしている。
医療保険で1位になったのは、住友生命傘下のメディケア生命「新メディフィットA(エース)」だ。目新しさはないが、どの保障項目をとっても、他社に見劣りしないのが特徴だ。保険料の安さが支持されているようだ。
がん保険でトップになったのは、チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムZ」。割安な保険料ながら、自由診療の対象となる抗がん剤治療にも手厚いことが支持されているという。
病気やケガによる長期療養で働けなくなったときに備えるのが、就業不能保険だ。1位はSBI生命「働く人のたより」だ。保険料は30代で月2000円前後の安さが特徴。会社員や公務員の健康保険では傷病手当金が支給されるほか、給料の3分の2が最長1年半支給される。
いま、保険金額が少額の「少額短期保険(小短)」が拡大している。さまざまな業種から新規参入が相次いでいる。コロナ保険が若者に人気だという。
しかし、感染者数が拡大し、第一生命が手掛けた第一スマートは、21年9月にコロナ保険の販売を一時停止。当初の保険料は3か月分で980円だったが、現在は3840円だ。スマホ決済のPayPayもアプリ上でコロナ保険を販売している。
規制緩和を各社が期待しているが、最終赤字の会社が全体の4割を占めた。そうした業者が経営破綻した場合、契約者を保護するセーフティーネットがないことも、規制緩和を難しくしている。
パート2では、「大量採用・大量脱落」の保険営業職員が、コロナによって構造転換しつつあることを指摘している。2020年度は、退職者数が採用者数を各社とも大幅に上回った。コロナ禍で実働が減った分を新人採用で埋めようとしたが、職域営業(企業訪問)は狭められ、新規顧客の開拓は厳しくなっている。
ほかに、「オンラインで契約が成立するのは、営業所で月に1件ぐらい」「10年後に生保レディーは必要とされなくなるのではないかと思う」「今は個人情報保護や新型コロナで職域営業は難しい」など、生保レディーが覆面座談会で本音を披露している。