賃上げより「教育改革」「ジョブ型」を望む声も
インターネット上では、「賃上げ」そのものに対する「あきらめ」の声が充満している。ヤフーニュースのヤフコメ欄ではこんな意見が相次いだ。
「賃上げはよいけど、もう経済にプラスに働くことはないと思う。それよりも、未来を安心して迎えられる環境が必要だと思うね。低賃金だったとしても、安心して子供を大学まで進学させてあげる安心と、安心して老後を迎えられることを国が担保する」「少子化対策をすぐしないと(中略)景気が先細りしていくのは目に見えているから、せめて20年後、働く人が増えていって経済が上向く実感がわかないとね」
賃上げしても全部貯蓄に回るから、経済はよくならないという指摘も。
「国が企業に賃上げだけ要請しても、企業も国民も将来が不安だから貯蓄するだけ。欧米などのようにお金を回転させる施策でないと企業も賃金をアップできないでしょう」
「今の日本だと給料上がっても貯蓄に回るだろうね。一番の原因は国民が政府を信じていないこと。年金も社会保障もいざとなれば簡単にルールを覆されるのが目に見えているからね」
さらに、「賃上げ」よりも、政府や経済界は「改革」に全力を挙げて取り組むべきだという意見も多かった。
「政府が強制的に民間企業に賃上げをさせるなんて限界がある。この先日本が大きく成長する見込みがないのに、賃金が大幅に上がるはずがない。日本が輝きを取り戻すために必須なのは賃上げではなく、痛みを伴う教育改革。これからの時代、異才や個性がますます重要になるだろう。なぜなら単純作業や予測可能な仕事は機械やAIに取って代わられるだろうから」「かつてのように日本が勤勉さや長時間労働で世界を席巻できた時代は終わった」
「日本人も早く欧米や中国のようなジョブ型企業へ転換できるといい。能力ある人材は高報酬ポジションへどんどん転職。各企業は人材確保のために高報酬を約束し、国内企業で人材を奪い合う好循環。とはいえ、現在の日系企業がそんな風に変わるにはバブル世代以上の経営陣が淘汰されないと難しい」
「転職しなくても、基本的に同期横並びの年功序列を崩し、ポジション性にすればいい。特に管理職ね」「15年やっても、責任逃れに終始してきた人と、たった2~3年でも修羅場に挑戦してきた人とは自ずと違う。(中略)年齢にかかわらず経験がある人を当てる。それから30歳ぐらいで配転をやめて、基本的には専門職とする。専門職の給与は市場と連動」「そうすれば専門性を上げたり、責任の幅を広げたり努力をした人はそれなりに処遇が上がる」
経営者へのこんな要望もあった。
「人件費はコストにあらず! 人件費とは地域振興費です! 経営者さまの中には(中略)人を働かせ放題の労働サブスク費と勘違いされている方が多く見受けられます」「仕事というのは(中略)時間とともに雪だるま式に一定量で増え続ける『業務パーキンソンの法則』というのがあり、労働者が業務タスクに費やされる消費カロリーもまた日々増えるのです」「業務タスクだけが増えれば、可処分所得は減ることになり(中略)地域経済も疲弊し、衰退するだけなのですよ。社員の給与を上げることは、地域を振興するための費用なのです」
もう無理だと観念しているのか、「ぜひ3%の賃上げを」という声は意外に少なかった。
(福田和郎)