「50%以上」賃上げする驚きの企業もいるのに...
ところで、岸田文雄政権は経済界に「3%の賃上げ」を要求するとともに、労働者側の日本労働組合総連合会(連合)でも「3%の賃上げ」を掲げているが、実際の賃上げ率はどのくらいになりそうか。今回の調査でも、賃上げを「実施する」と回答した企業に、賃上げ率を年収換算ベース(100までの数値)で聞いた。
その結果、賃上げ率は前年度(2021年度)の水準から大幅に悪化し、賃上げ率「3%未満」の企業は前年度の50.8%から73.1%へと22.3ポイントも上昇している。逆に、「3%以上」は26.9%で、20ポイント以上も減少した。
1%区切りで細かくみていくと、最多は「1%以上2%未満」の36.2%だった。次いで、「2%以上3%未満」が33.4%、「3%以上4%未満」が17.0%(424社)と続く=図表3参照。結局、賃上げ率の中央値は、大企業、中小企業の規模を問わず2.0%だった。これでは、「3%の賃上げ」など夢のまた夢、ということになりそうだ。
それにしても、どんな会社か不明だが、「30%以上の賃上げ」を実施すると回答したところが14社(全体の0.62%)あったことは驚きだ。なかには「50%以上」も8社(0.32%)あったのだ=再度、図表3参照。
なお、調査は2022年2月1日~9日にインターネットによるアンケートで行い、6781社から有効回答を得た。「定期昇給」「ベースアップ」「賞与(一時金)」「新卒者の初任給の増額」「再雇用者の賃金の増額」をすべて賃上げと定義。また、資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業などを含む)を「中小企業」とした。