可決するか? 東芝「2分割」案 臨時株主総会に向けて続く関係者間の激しい駆け引き

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にっちもさっちもいかない分割案

   ところが、これを引っ込めて示した新たな計画は、分離するのはデバイスのみとし、株式を上場して残りは本体に残す案だった。デバイスでは2000億円を投じ、省エネに効力を発揮する「パワー半導体」の増産のため石川県の工場の生産能力を増強することも発表した。本体に残す事業では、原発の新増設が見込めないことから、太陽光発電や洋上風力発電など再生可能エネルギーで稼ぐ考えだ。

   3分割のコストが想定以上だったとし、2分割にすることで費用の削減や事務負担の軽減が見込めるという。分割は2023年度の実行を目指す。

   また、空調機器などを手掛ける子会社、東芝キヤリア(川崎市)の保有株式を今年9月末までに合弁相手の米企業に約1000億円で売却するのをはじめ、エレベーターや照明事業も22年度中に売却し、計2100億円の資金を得ることを目指す。こうした売却益を含め、向こう2年間で約3000億円を株主に還元すると表明した。

   2021年11月の3分割案は、収益構造や成長戦略が異なる各事業が独立することで、それぞれの価値がわかりやすくするとともに、1社内にとどめるより成長分野への投資の意思決定が早まり、機動的に事業展開できる―― という狙いだった。

   これをわずか3か月で修正に追い込まれたのは、3分割案の発表後も株価が低迷。短期間で収益を上げて株式を手放したい物言う株主はもちろん、比較的長期投資をする海外の資産運用会社などからも懐疑的な声が出たためだ。

   何より、本当に成長し、企業価値を高めていけるのか――。物言う株主が東芝経営陣に「不満」を持つのは、この一点だろう。

   東芝は2021~25年度に分割する2社の合計で1兆5000億円を、設備投資や研究開発費に投じる計画だ。本体のインフラ会社は風力や水素といったエネルギー関連、水道や鉄道といった社会インフラ、量子暗号や人工知能(AI)などが残り、その一方で投資領域は幅広いため、狙いどおりの迅速な意思決定、効果的な投資ができるのか――。つまり、物言う株主は会社分割それ自体に反対というより、成長戦略への見通しを疑問視しているわけだ。

   それは東芝が物言う株主に、きちんと説明できていないようでもある。

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