結婚の意思のある19歳~49歳の未婚者は、男性が女性よりも134万人も「余っている」――。こんな衝撃的な分析結果を東京大学の研究チームが発表した。
東京大学の研究チームは2月3日、2015年の「出生動向基本調査」を用いて「日本人における未婚者の特性及び婚姻相手に求める要件について」の分析結果を発表した。
分析結果は2月3日に専門誌「Plos One」に掲載された。
男性の場合、収入と結婚は比例の関係
婚姻状態と婚姻の意思を分析したところ、女性の場合には、収入が最も少ない層と最も多い層がより結婚している傾向があった。学歴別では、大卒が77%、高卒以下が69%、大学院卒が64%の結婚率だった。
一方、男性は収入と結婚は比例の関係にあり、収入が高くなるにつれて、既婚者の割合が増えた。年収700万円以上の男性では24歳~39歳で84%、40歳~49歳で92%が既婚者だった。また、教育水準が高いほど結婚している割合が高くなった。
俯瞰して見てみると、2015年時点での18歳~49歳女性2281万人のうち、既婚者は1236万人(54%)で、結婚意思のある未婚者は848万人(37%)、結婚意思のない未婚者は196万人(9%)だった。
同様に、18歳~49歳男性は2312万人のうち、既婚者は1095万人(47%)で、結婚意思のある未婚者は983万人(43%)、結婚意思のない未婚者は233万人(10%)だった。
もっとも、結婚意思のある未婚者について年齢階層で見ると、18~24歳では女男ともほぼ同数だが、25~39歳では約80万人、40~49歳では約50万人、と男性の方が余剰であることがわかった。
居住地域別ではどうだったか。これについては、人口非過密地域と東京都を含む関東地方で、とくに男性余剰が約60万人と顕著だった。研究チームでは、「男女の地理的分布が結婚市場におけるカップル形成の障害になっている可能性が示唆される」としている。
結婚に際して、女性は高収入・高学歴の男性を重視しやすいことは、以前から「三高」(高収入、高学歴、高身長)という言葉で表現されてきた。それを裏付けるように、今回の調査によると、とくに40~49歳男性は、教育水準が高いほど結婚している割合が高くなっている。
同時に、収入・学歴の両方を満たす男性がいかに少ないかも明らかになった。
婚活市場には少ない高収入・高学歴の未婚男性
年収700万円以上の男性では、24歳~39歳で84%、40歳~49歳で92%が既婚者だった。これに対して年収0~100万円未満では、既婚者の割合は25歳~39歳で23%、40歳~49歳で33.4%だった。
つまり、年収700万円以上の男性で未婚者は、24歳~39歳で16%、40歳~49歳で8%しかいない、というわけのだ。一方で年収0~100万円未満の未婚者は、24歳~39歳で77%、40歳~49歳で66.6%となる。
男性の年収別人口では、年収0~300万円が618万人(62%)、年収400万円以上が196万人(20%)で、年収700万円以上はわずか16万7000人(2%)しかおらず、「日本の結婚市場の大半は低収入の男性で占められている」と分析している。
女性は結婚に際して、男性の収入や学歴が自分よりも上、少なくとも同等の人を選ぶ傾向がある。この結果、19歳~49歳の未婚者では男性が134万人も余っているにもかかわらず、女性の条件を満たす男性の場合には、女性が余るという「逆転現象」が起きる。
たとえば、年収500万円未満の女性が、自分以上の年収の男性と結婚したい場合、その条件に当てはまる男性1人に対し、女性が2.5人存在する。さらに、大卒を条件に加えると、年収500万円未満の女性が自分と同等もしくはそれ以上の収入のある男性と結婚したいと思ったら、その条件に当てはまる男性1人に対して存在する女性の数は4.86人となる。
研究チームは、「高収入・高学歴の未婚男性が婚活市場には少ないため、もし、日本の女性が自分と同等かそれ以上の収入の男性を好むようになれば、とくに高収入の女性にとって、高収入の男性をめぐる競争は激しくなることが明らかである」と分析している。
また、「とくに女性の高収入男性への選好は、女性の高学歴化高所得化が進んでも顕著という研究結果もあり、定職/高収入/大卒の男性が少ないことが結婚率低下の原因になっていることが考えられる」としている。