移転先に北海道、コロナ禍前から5倍に急増
首都圏からの移転先で、最も多いのは「大阪府」の46 社。次いで「茨城県」の37 社だった。大阪府への転出社数は2 年連続で増えたほか、2010 年の41 社を上回り過去最多を更新した。
3 位の「北海道」は33社で、コロナ禍前の2019 年の7 社から約5 倍に急増した。首都圏から北海道への移転社数としては過去最多となる。帝国データバンクは、人口密度の低さなどから、本社機能や研究施設の受け皿として北海道が注目されていることが背景にある、とみている。
また、「宮城県」(19 年との比較でプラス10 社)や「岡山県」(プラス9 社)、「兵庫県」(プラス7 社)などは、コロナ禍前から目立って増加。「福岡県」(20 社)や「宮城県」(14 社)、「広島県」(10 社)なども、首都圏からの転出先として過去最多(広島県は最多タイ)を記録した。
これまで、首都圏からの本社移転先は大都市部や北関東3 県など首都圏近郊が多かったが、リモートワークが定着したことで、遠隔地のほか、人口密度の低い地方の中核都市が本社移転先の有力候補に新たに浮上している。
さらに、首都圏からの転出企業を売上高規模別にみると、最も多かったのは「1億円未満」で176社となり、多くが小規模な企業だった。なかでも、5000万円未満の小規模企業、設立間もないスタートアップの割合はコロナ禍前を大きく上回ることがわかった。
なお、調査は2021年に首都圏と地方間を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主、非営利法人など含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析した。本社は、実質的な本社機能(事務所など)が所在する事業所をいう。