最新2022年「借りて住みたい街」に見るユーザー意識の変化《前編》 コロナの影響でランキング激変「首都圏」(中山登志朗)

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   先日、筆者が所属するLIFULL HOME'Sから2022年版の「借りて住みたい街&買って住みたい街」ランキングの発表がありました。今回は、このランキングデータの分析から、とくに「賃貸ユーザー」のコロナ禍における意識の変化を探っていきたいと思います。《前編》では、首都圏を中心にランキングとその背景を探っていきます。

  • 通称「本気で住みたい街」ランキングを読み解く
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コロナ禍が変えた賃貸ニーズの向かう先はどこか

   ご存じの通り、オミクロン株の感染拡大で、再び新型コロナウィルスの新規感染者が急増する状況が続いています。マスク着用および消毒や手洗いなどの身近な対策と、人の移動・接触をできるだけ少なくすることによって、感染拡大を防ぐことが求められますが、その有効な手段とされるのがテレワークやオンライン授業などです。

   とくに東京都は、感染者が全国一多いこともあって、テレワークおよびオンライン授業の進捗・定着が進み、相対的にほぼ毎日通勤・通学する人は漸減している状況です。こうなると、事実上自宅でオンとオフを同じく過ごすことになり、自宅内での棲み分けは家族ほか同居する人がいると、思ったほど簡単ではないのが実情です。

   したがって、コロナを恐れて転居するというよりは、コロナ禍で働き方が変わり、毎日出勤する必要がなく、かつ、オンとオフとをある程度家庭内でも分ける必要(明確に分けるのは極めて困難です)が出てきた際に、住み替えの必要性を感じることになります。

   このような状況下で公表されたLIFULL HOME'Sの「借りて住みたい街&買って住みたい街」ランキングにも、その影響が明確に表れていると言えるでしょう。

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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