アフターコロナ時代の会社経営...「死の影」身近だった戦前社会にヒントあり!

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利害関係者とともに不確実性に立ち向かう

   新型コロナウイルス感染症の拡大、とりわけリモートワークの拡大により、企業で働くことがしばしば非合理でありうることがわかってきた。

   このような事態を回避するには、労働者が移動できる可能性があることが重要だという。分業と協業ができ、将来の不確実性を低下させることができるのであれば、働く場所はどこであってもかまわない。

   企業側から見れば、「労働者」に対しては生活・衛生環境を改善し、その尊厳を保護し、教育機会を提供するとともに、可能な限り雇用を継続し、賃金を切り下げるようなことはしないこと。また、「消費者」に対しては積極的にコミュニケーションを取り、関係を維持するとともに、財・サービスの提供を継続すること。「株主」に対しても、可能な限り情報を提供し、コミュニケーションを継続することが重要となってくる。

   本書を通読すると、戦前は企業の寿命は短く、人々は永続するものとは考えていなかったことがわかる。

   明治期は企業の入れ替わりも激しく、しばしば倒産していた。そこから、さまざまな改革によって、より永続するよう努力してきた。「コロナ後」の社会でも、さまざまな不確実性が存在するだろう。だからこそ、企業というものと関係を構築しながら、他の利害関係者とともにその不確実性に立ち向かう必要があるのだ。

(渡辺淳悦)

「感染症と経営」
清水剛著
中央経済社
2420円(税込)

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