アフターコロナ時代の会社経営...「死の影」身近だった戦前社会にヒントあり!

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企業との関係構築が重要

   ここで、戦前の労務管理を見てみよう。本書によると、死が身近にある社会における労務管理の方向性として、(A)労働者の生活・衛生環境に積極的に投資することで、労働者を定着させ、生産性の向上を図る方向と、(B)労働者に投資をせず、「使い捨て」にする方向の2つがあることを例証している。

   そして、新型コロナを境に、後者(B)から前者(A)に移り変わってきたことを指摘している。それだけに「コロナ後」の社会においては、労働者の生活・衛生環境を改善することが重要である、としている。

   「死の影」の下にある消費者にとっては、騙されるリスクを回避することも重要だ。そのような消費者の不安感や不信感を乗り越える仕組みとして、百貨店、出版社の通信販売、消費組合、小売市場が出現。それらに共通する要素として、評判とネットワークがある。これらもまた、「コロナ後」の社会で重要である、と述べている。

   株主との関係では、死に直面する中で、株主がしばしば近視眼的になることを指摘。株主を経営に引き込み、株主との利害関係を調整して、株主と共存する方法があることを鐘淵紡績などの例で確認している。「コロナ後」の社会でも、株主を引き込み、経営のファンにしていくことの重要性も指摘している。

   以上のことから、清水さんは、戦前の人々は、企業との関係を構築することで対応してきた、とまとめている。

   「労働者」は労働者を尊重する企業に定着することによって、また「消費者」は企業との間で継続的な関係を築くことによって、さらに「株主」も企業を率いる専門経営者との間で継続的な関係を持つことによって、協力関係を築くことができる。

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