ガソリン高騰に自動車ユーザー団体「JAF」怒りの声明! 不合理なガソリン税の元から正さないと!

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   ガソリン価格の上昇が止まらない。2022年2月14日時点でのレギュラーガソリン1リットル当たり171.4円になった。政府が石油元売り各社に1リットル当たり5円の補助金を出しても、このありさまだ。

   そんななか、「ガソリン高騰は、高すぎるガソリン税の仕組みから正さないとダメだ」と、全国2000万人の自動車ユーザーの団体「日本自動車連盟」(JAF)が声明を発表した。自動車ユーザーの「怒りの声」は政府に届くのか。

  • ガソリン給油にも重たい気分が続く(写真はイメージ)
    ガソリン給油にも重たい気分が続く(写真はイメージ)
  • ガソリン給油にも重たい気分が続く(写真はイメージ)

「当分の間税率」撤廃、「Tax on Tax」(二重課税)解消求める

   日本自動車連盟(JAF)は、自動車事故や故障の際に救援作業を行うことでおなじみだが、自動車ユーザーの権益を保護する目的で1963年に設立された一般社団法人だ。日本で開催される多くのモータースポーツを公認するなど、自動車関係のさまざまな活動を行っている。

   公式サイトによると、2021年10月末の時点で会員数は2000万人を超えた。これは、全国の運転免許保有者数約8200万人の24.4%にあたり、ドライバーの約4人に1人がJAF会員ということになる。

原油価格がどんどん上がっているが...(写真はイメージ)
原油価格がどんどん上がっているが...(写真はイメージ)

   そんなJAFは、自動車ユーザーの利益の代表者として、国際的にも「高すぎる」と評判のよくない日本のガソリン価格の背景にある「ガソリン税」について、かねてから政府に是正の要望を繰り返してきた。

   たとえば、昨年(2021年10月)には「2022年度税制改正に関する要望書~自動車ユーザーは強く訴える~」と題する19ページの要望書を政府に提出した。

   この要望書の中で、ガソリン税に上乗せされている「当分の間税率」の撤廃を求めている。「当分の間税率」とは、本来のガソリン税率28.7円(1リットル当たり)に、当分の間として上乗せされている25.1円(同)の特定税率のこと。「当分の間」と言いながら、1974年から約50年も続いているのだ。

   ほかにも、ガソリン税に消費税が課税される「Tax on Tax」(二重課税)の解消と、自動車重量税も「欧米では例をみない過重な税だ」として撤廃を求めたのだった。

「当分の間」と言いながら50年続く不合理な税

   今回、JAFは2022年2月7日、ガソリン価格の高騰を受けて、あらためて「今こそ、ガソリン価格を抑えるために『当分の間税率の廃止』および『Tax on Taxの解消』を!」と題する声明を発表した。声明の内容は次のとおりだ。

タンカーと石油貯蔵タンク
タンカーと石油貯蔵タンク
《(略)現在、ガソリン価格の高騰が続く中で政府はトリガー条項の発動検討や価格高騰抑制のために石油元売り会社に補助金など対策を打ち出していますが、JAFは、この機会に以下について改めて強く要望します。

1.ガソリン税等に上乗せされ続けている「当分の間税率」を廃止すべき。
2.ガソリン税に消費税が課税されている「Tax on Tax」という不可解な仕組みを解消すべき。

このようにJAFでは自動車ユーザーへの過剰な負担増や、到底理解・納得できない課税形態は早急に見直しをするべきと考えます。(以下略)》

   ちなみに、トリガー条項とは、レギュラーガソリン価格が3か月連続で1リットル当たり160円を超えた場合、ガソリン価格を下げるため、上乗せの税率分のガソリン税25.1円を差し引くことだ。2010年に導入されたが、2011年の東日本大震災による復興財源確保のため、凍結されたままだ。

   トリガー条項については、萩生田光一経済産業相が一度は凍結解除に言及しながら、岸田文雄首相が否定するなど、政府は発動に消極的だ。

自動車ユーザーが納得できる公平・公正・簡素な税に

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の声明のねらいなどについてJAFの広報にメールで取材した。

――JAFは何度も自動車税制の改正を政府に要望していますが、今回あらためて声明を発表したねらいはなんですか。会員ユーザーから強い要望があったのですか。

広報担当者「おっしゃるようにJAFでは毎年、自動車ユーザーの声を集めた『税制に関する要望書』を用いて政府などに要望し続けています。しかし、JAFが要望する事項がなかなか反映されていないのも現状です。
昨今のガソリン価格高騰が続く中で政府は、トリガー条項の発動検討や価格高騰抑制のために石油元売り会社への補助金など対策を打ち出していましたが、JAFは、ガソリン価格が問題になっている今こそ、会員を始め多くの自動車ユーザーの声を届ける機会ととらえ、(中略)不合理なガソリン税の抜本的見直しをあらためて強く要望するに至りました」

――声明にある「当分の間税率」とは、何を指すのでしょうか。昨年10月の「2022年度税制に関する要望書」をみると、「自動車重量税」とガソリン税等に上乗せされている「特例税率」があげていますが、この2つと理解していいのですか。

広報担当者「今回の声明では、ガソリン価格高騰における要望のため、ガソリン税や軽油引取税に対して『当分の間』として上乗せされている『特例税率』のことを指しています=図表1参照
ただし、『2022年度税制に関する要望書』にはおっしゃるとおり、自動車重量税にもガソリン税、軽油引取税と同様に上乗せされている『特例税率』がございますので、JAFとしては、今後も自動車税制にかかわるすべての『当分の間税率』の廃止を要望してまいります」
(図表1)ガソリン税等に「当分の間」として上乗せされている特定税率の仕組み(JAFの公式サイトより)
(図表1)ガソリン税等に「当分の間」として上乗せされている特定税率の仕組み(JAFの公式サイトより)

――これまで、何度も廃止を要望しながら、政府は対応してきませんでした。政府の姿勢についてどう考えていますか。

広報担当者「残念ながら、現状は要望がなかなか反映されておりません。しかし、JAFが2021年に実施したウェブアンケート調査では、9割以上の自動車ユーザーが『当分の間税率』について『反対』『どちらかといえば反対』と回答しており、このような自動車ユーザーの声を要望活動というかたちで届けていくことがJAFの使命であると考えております」

――「Tax on Tax」の不可解な仕組み(=図表2参照)について、政府は「石油税などは工場の生産過程にかけられた税金である。一方、消費税は工場から出荷後の商品にかけられる税金である。従って二重課税にはあたらない」と反論していますが、どう考えていますか。

広報担当者「そのようなご意見があることは承知しておりますが、JAFが2021年に実施したウェブアンケート調査では、9割以上の自動車ユーザーがガソリン税に課税される消費税に納得していないことがわかっています。JAFがこれまで長年主張してきた自動車ユーザーが納得できる公平・公正・簡素な自動車税制の実現に向けて(中略)是正の声を上げてまいります」
(図表2)「Tax on Tax」(二重課税)の仕組み(JAFの公式サイトより)
(図表2)「Tax on Tax」(二重課税)の仕組み(JAFの公式サイトより)

――「トリガー条項」を発動しない理由を、萩生田光一経済産業相は、昨年(2021年)10月の記者会見のなかで、「トリガー条項が発動された場合、ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱が起こることから、凍結解除は適当ではない」と答えていますが、これについてはどう考えますか。

広報担当者「JAFとしてはトリガー条項の発動を求めているわけではありません。今回の声明にもありますとおり、『当分の間税率』や『Tax on Tax』といった自動車ユーザーへの過剰な負担になる到底理解、納得ができない不合理な課税形態を抜本的に見直すことを要望していきます」

   JAFの広報は繰り返し、「自動車ユーザーが納得できる公平・公正・簡素な自動車税制の実現に向けて是正の声を上げていく」と強調したのだった。

(福田和郎)

姉妹サイト