税理士・会計士にも冬の時代
「週刊エコノミスト」(2022年2月22日号)の特集は、「これから勝てる税理士会計士」。2月15日から確定申告の受付が始まった。顧問税理士と二人三脚で決算書類作成や申告準備に当たっている中小企業の経営者には気になる内容だ。
顧問には税理プラス経理プラス付加価値が求められているというのが、巻頭記事の主張だ。税理士を交代し、経営が劇的に改善した事例を紹介している。
その反面教師のような「こんな税理士は捨てられる」という指摘が、当事者には刺さる内容だろう。
〇税務と経理しかやらない割には顧問料が高い
〇決算数値に疑義を挟まない単なる「計算係」
〇補助金申請や事業継承の知見がない、提案だけで遂行能力がない
〇業界事情を理解していない
〇電話、メール、チャットへの返事が1日以上かかる
税理士業界でいま喫緊の課題になっているのが、今年1月1日施行の改正電子帳簿保存法(電帳法)と2023年10月1日からスタートする消費税のインボイス制度への対応だ。デジタル化対応の「踏み絵」になる可能性があり、税理士淘汰の呼び水になるかもしれない、と指摘している。
「大学生の子どもには『税理士には絶対になるな』と言っている」「複数の会計ソフトに対応できない税理士が大量廃業するのでは」などの本音トークも紹介している。
一方、会計士の業界でも、大手監査法人が中小規模の上場企業の監査から撤退し、準大手や中小監査法人が上場企業監査を担当する動きがあるという。
会計制度の変更や監査項目の増加、不正発覚などで業務は複雑で過大になる一方だ。強烈なコンプライアンスに悲鳴を上げる会計士の声も。弁護士に次ぐ、文系「士」業の華と言われた、税理士と会計士にも冬の時代が来たようだ。
(渡辺淳悦)