【上司力を鍛える】使いこなせなければ、いまや部下育成もチーム作りもできない「ITツールの習熟化」《後編》(前川孝雄)

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リモートとリアルは不可分な相互補完関係。ITツールの習熟化度合いが企業差となる

   さらに押さえておくべきは、ITツールによるリモートと対面によるリアルのコミュニケーションは、互いにトレードオフの関係ではなく、相互補完関係にあると心得ることです。

   否応なしにITツールの活用が始まった頃は、いかにリアルをITツールに置き換えるかに捕らわれがちでした。しかし今では、それぞれの長所と短所を認識したうえで、両方を上手に組み合わせて活用し、相乗効果を高める視点が大切になってきているのです。

   本連載の前半で取り上げた、期初の育成面談や任用(動機づけ)面談、また、要所での振り返りなど、節目のコミュニケーションはリアルでしっかり行うのが適切かもしれません。一方、この面談などで信頼関係ができていれば、日常の報・連・相やミーティングはリモートで十分行えます。

   最近の各種調査でも、完全リモートではなく、週に数日の出勤と在宅勤務を組み合わせる職場が多い傾向が示されています。

   グループ企業内の会議や研修に、全国オンライン方式を導入したことで、従来の社員を一堂に集める方法の限界を超えた事例もあります。また、オフィスワークのみならず、工場でのリモートワーク導入を検討する企業も出てきました。さらに、居住地を問わないことで、全国の優秀人材の採用に乗り出した企業も現れています。

   ITツールの習熟化と有効活用の差が、企業力の差に現れる時代にも入っているのです。

※マネジメント改革を実現する「上司力」の詳細をさらに詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業 審査員なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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