カシオ計算機株10%安、利益率高い中国販売減を嫌気 中国時計事業に異変あり?!

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   時計や電卓などを手がけるカシオ計算機の株価が2022年2月3日の東京株式市場で一時、前日終値比152円(10.1%)安の1346円まで下がり、2020年3月以来、約1年11か月ぶりの安値となった。

   前日取引終了後に発表した2021年4~12月期連結決算では、利益率の高い中国での時計販売が減少していることが投資家に不評で、株が売られる展開となった。その後も大きく反転できずにいる。

  • 中国の消費者マインドは?(写真はイメージ)
    中国の消費者マインドは?(写真はイメージ)
  • 中国の消費者マインドは?(写真はイメージ)

Gショックの海外動向は業績、成長力を左右

   それでは発表した決算の内容をみていこう。売上高は前年同期比16.7%増の1942億円、営業利益は80.0%増の200億円、最終利益は47.2%増の148億円だった。コロナ禍でリアル店舗の販売が落ち込んだ前年から力強い回復を見せる2桁の増収増益ではある。

   ここでカシオの事業内容を確認しておくと、売上高の半分以上を占めるのが、「Gショック」シリーズの腕時計などによる時計事業だ。その時計事業の半分程度の売上高があるのが電卓や電子辞書、楽器などのコンシューマ事業。さらに全体の売上高の1割程度で国内法人向け電子端末などのシステム事業などからなる。

   利益については、時計事業が全体の9割方を稼ぎ出している。Gショックは欧米や中国など世界各地で人気を保っており、時計事業の海外売上高比率は7~8割に及ぶ。そのため、Gショックの海外の動向はカシオの業績、成長力を左右するとみられているわけだ。

   そんななか、2021年10~12月期に目を凝らすと、中国の時計事業に異変が起きていたことで投資家が売りに走った。

   エリア別売上高(現地通貨ベース)を見ると、日本が前年同期比プラスマイナスゼロ、北米が10%増、欧州が14%増だったが、中国は28%減と失速が目立った。

   中南米や中近東など「その他」が20%増で、全体としては3%増だった。中国では東南アジアの部材メーカーの稼働制限により、主力モデルの欠品が起きたことに加え、コロナの感染拡大を防ぐ行動制限により、消費意欲が弱まったことが影響した模様だ。

中国の消費意欲の減退は一時的か?根深い問題か?

   とはいえ、悲観的な意見ばかりではない。

   野村証券は22年2月2日付「決算速報」で「中国の減収を他地域がカバー」と題し、「第一印象」は「ポジティブ」とした。「中国消費が弱含む中でも、時計事業全体での成長は可能という我々の見方が裏付けられたと考える」とも指摘している。

   SMBC日興証券は決算を受けたリポートで、中国の「独身の日商戦(11月のネット通販商戦)で過度な値引き販売とは一線を画した対応は評価されよう」とコメントした。

   欧米各国はすでに「ウィズコロナ」時代に入りつつあり、それがカシオの時計事業にも反映されているようだ。

   しかし、中国はもともと欧米ほどにはコロナが「まん延」していなかった。それだけに、中国の消費意欲の減退がコロナによる一時的な行動制限によるものか、それとももっと根深い構造的なものなのか。

   このあたりはカシオに限らず、なかなか見極めが難しいところで、カシオ株急落はそうした不安心理を映しているようでもある。(ジャーナリスト 済田経夫)

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