中国の消費意欲の減退は一時的か?根深い問題か?
とはいえ、悲観的な意見ばかりではない。
野村証券は22年2月2日付「決算速報」で「中国の減収を他地域がカバー」と題し、「第一印象」は「ポジティブ」とした。「中国消費が弱含む中でも、時計事業全体での成長は可能という我々の見方が裏付けられたと考える」とも指摘している。
SMBC日興証券は決算を受けたリポートで、中国の「独身の日商戦(11月のネット通販商戦)で過度な値引き販売とは一線を画した対応は評価されよう」とコメントした。
欧米各国はすでに「ウィズコロナ」時代に入りつつあり、それがカシオの時計事業にも反映されているようだ。
しかし、中国はもともと欧米ほどにはコロナが「まん延」していなかった。それだけに、中国の消費意欲の減退がコロナによる一時的な行動制限によるものか、それとももっと根深い構造的なものなのか。
このあたりはカシオに限らず、なかなか見極めが難しいところで、カシオ株急落はそうした不安心理を映しているようでもある。(ジャーナリスト 済田経夫)