オンライン授業の導入が進む学習塾。オンライン授業では、塾講師たちはホワイトボードに代わって、手元の液晶ペンタブレットに文字や図を書き、その画面を生徒たちと共有する―― そんな光景も広まっているようだ。
そんななか、ワコム(埼玉県加須市)の液晶ペンタブレットのエントリーモデル「Wacom One 液晶ペンタブレット13」が、進学塾の栄光ゼミナールなどを展開する栄光(東京都千代田区)でこれまでに120台近く導入され、講師たちからも好評だという。
教育現場での液晶ペンタブレット導入には意欲的なワコム。担当者にそのねらい、思いを聞いた。
生徒の理解度の把握に役立つ
液晶ペンタブレットとは、専用の電子ペンを使って、液晶ディスプレイ付きのタブレット上で文字や図、絵などを書ける(描ける)デバイス。これをパソコンに接続して使用するのが一般的だ。学習塾を展開する栄光では、オンライン授業特化型の進学塾「EIKOH LiNKSTUDY」を2021年夏に開講し、ここでワコムの液晶ペンタブレットを活用している。
もともと栄光は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から2020年3月にオンライン授業の形式を取り入れた。だが、その当時は、紙やホワイトボードへの板書をカメラに映すという「アナログ」な方式だったという。
以来、オンライン授業の学習指導を改善していこうと、講師がデジタル教材に直接ペンタブレットで書き込む仕組みを検討した。その際、100人以上の講師が使用することを踏まえ、コストパフォーマンスに優れた液晶ペンタブレットを探したそうだ。
そのほかの要件は、生徒たちと画面を共有するため、教材の指定位置にタイムラグなく、きれいに書き込めること。また、視認性のよいディスプレイとサイズであることなど。こうしたポイントを押さえていたのが、「Wacom One 液晶ペンタブレット 13」だった。
その後の実機検証を経て採用に至るのだが、「決め手は鉛筆と同じような書き心地」(栄光 事業統括室 課長の谷口誉四朗さん)も後押しして、2021年11月までに121台を導入した。
現在、オンライン学習塾「EIKOH LiNKSTUDY」で導入されている。液晶ペンタブレットへの自然な書き心地によって、講師もストレスを感じることなく授業に専念できる。あらかじめ用意されたデジタル教材に講師が直接、問題や解説を書き込めることから、双方向型のオンライン授業が充実しているそうだ。
しかも、これまではわからなかった板書中の生徒の様子や表情が確認でき、講師たちにとっては理解度の把握に役立っている。講師からは、こんな声も寄せられている。
「教材に手書きで線を引くことが多い数学担当者にとって、ペン先の感触で線の太さを自在に表現できるのはありがたいですね。また、ペンも充電の心配なく使え、何かあっても本体にあらかじめ格納されている替え芯にすぐ取り換えられるので安心して利用できています」(「EIKOH LiNKSTUDY」グループ指導 難関高校受験数学科責任者の河野知義さん)