コロナ禍の不安定な経済状況から、投資意識が高まっている。
預金以外の投資商品に興味がある18~60歳代の男女500人に、その投資商品を聞いたところ、日本株式が48.4%、投資信託は38.0%を保有していることが、外為どっとコム(東京都港区)が実施した「投資・副業に関する調査」でわかった。2022年1月27日の発表。
NISA制度ついても、「知らない」と答えた人はわずか6.0%と認知度が高いことがわかった。ただ、NISA制度を実際に知っていて利用したことがない人は41.4%にものぼり、投資するうえでのリテラシーの課題が浮き彫りになった=下図参照。
「将来に不安...」本業以外の「副収入」に興味津々
調査によると、現在の月々の貯金額や投資額の平均は9.4万円で、家計の金融資産の構成は、現金・預金が60.0%にのぼる。日本銀行調査統計局が発表した「家計の金融資産構成」によると、アメリカでは預金・現金の割合は13.3%で、日本は圧倒的な現預金大国であることは周知のとおりだ。
現在、世帯の銀行預金額は3000万円以上が13.6%。銀行預金以外の金融商品(株式や不動産、外国為替証拠金取引〈FX〉など)の総資産は、「保有なし」が18.8%で最多となった。また、現在の月々の貯金額や投資額の平均は9.4万円。10~20代は平均6.4万円と他の世代と比べて低い結果になっている。
家計の金融資産の構成をみると、現金・預金は60.0%、株式等は12.2%、投資信託は8.4%で上位を占めている。
一方で、副業や副収入についても聞いたところ、「現在、副業や副収入がある」と答えた人は20.8%。その中で最も多いのは「アンケートモニター・懸賞」だった。しかし、男性だけでみると、「株式投資」「FX」「不動産・シェアリング」など、投資関連が多く取り組まれている傾向にあった。コロナ禍では、投資や副業(副収入)への意識にも影響があることがわかった。 そうした中で、コロナ禍をきっかけに投資を始めた、もしくは頻度が増えたと答えた人は約2割にのぼる。
副業や投資を始めた理由をみると、「老後の資金を貯めたい」のほか、「自身の将来への漠然とした不安」「日本経済への不安」「コロナ禍での経済不安」など、多くの不安を感じており、本業以外の収入への意識は高まっている。
10 ~20代、28%が自分の将来に「非常に不安」
「自分の将来の収入に不安はありますか?」という問いに、28.0%が「非常に不安」と回答。特に10~30代で「非常に不安」、「どちらかと言えば不安」に感じているのは約7割にのぼり、将来不安が大きいことがうかがえた。
また、投資について「コロナ禍をきっかけに興味がとても高まり、実際に始めている(以前よりも頻度・金額が増えた)」と答えたのは22.0%に。副業(副収入)についても同様で、「コロナ禍をきっかけに興味が高まり、実際に始めた(以前よりも頻度・金額が増えた)」と答えたのは15.4%にものぼり、「コロナ禍をきっかけに興味が高まったが、行動は起こしていない(頻度・金額に変化はない)」人は35.0%だった。
さらに、副業(副収入)・投資に興味を持ったきっかけを聞くと、「老後の資金を貯めたい」が54.9%でトップ。次いで、「自身の将来に漠然と不安を感じた」「日本経済に不安を感じた」」「コロナ禍で経済不安を感じた」との答えもそれぞれ3割程度に及び、特に10~20代は先行きの見えない日本経済への不安がひと際高い傾向にあるという。
実際に投資について現在、具体的に実施していることには、
「周りで休業や失業する者が増え、以前から行っているFXに投資することが増えた」(20代男性)
「コロナ禍を機に職場の業績が悪くなり、収入とボーナスが減額になったので、お金を増やすことを考え、つみたてNISAを始めた」(20代女性)
といった声があがっている。
老後2000万円「順調に準備ができている」人は26.0%!
老後資金として必要とされた「2000万円問題」の実態を聞くと、「すでに用意が済んでいる」、「計画どおり順調に準備ができている」と答えた人は26.0%。「計画はしているが不十分だと感じている」、「不安があるがどうしたらいいかわからない」と答えた人は57.6%と、まだまだ課題が多いのが浮き彫りとなった。
対策方法で最も多いのは「貯金・預金」で、「株・投資信託などで資産運用している」のは58.3%だった。30代ではFXも人気の傾向にあることがわかった。
ちなみに、「人生100年時代」に備えた資産形成の知識が必要となっていくなか、4月から高校の家庭科の授業で「資産形成」など金融教育がはじまることを「知っている」人は31.6%にとどまった。
なお、調査は銀行預金以外の投資に興味がある18歳~60代の男女500人(男性250人、女性250人。18~20代、30代、40代、50代、60代の各100人)を対象に、2022年1月6日~11日に実施した。