オミクロン株収まったら、米国株「いいとこどり」も終焉? エコノミストが警戒...ポストコロナの行方

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「恐怖指数」が高くなったら「買い」に入るのも手

   米国株式市場では、「VIX」(ヴィックス)という指数が上昇し始めている。VIXとは株価変動率を表す指標の1つで、株式市場に対する投資家の心理状態を数値で表したものだ。これがある水準まで上昇すると、株価が下落する可能性があるため、「恐怖指数」と呼ばれている。

   この「VIX」に注目して長期的に対応しようと呼びかけているのが、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。石黒氏のレポート「不安定な相場局面時の対処法」(2月4日付)のなかで、「VIXの水準で判断して、先の投資をしよう」と呼びかけている。

「VIXの水準別の1年後株価上昇確率をみると、25以上で投資した場合、1年後の株価上昇確率は2009年以降で100%となっています(=図表1参照)」
(図表1)VIX(恐怖指数)水準別の1年後の株価上昇確率(野村アセットマネジメント作成)
(図表1)VIX(恐怖指数)水準別の1年後の株価上昇確率(野村アセットマネジメント作成)

   この図表をみると、VIXが高水準に達した時に下落した株を買うと、1年後には上昇している確率はみな100%だ。現在、FRBの金融引き締めペースに対する市場の警戒度は高く、VIXは今後も高水準で推移する可能性がある。そのため、石黒氏はこうも指摘する。

「そのため、VIXが25を超えた時に、複数回に分けて買いを入れるというのも一手」「現在のような局面では長期目線で投資を継続することが肝要」

   米国で急上昇している「消費者物価」の行方に注目しようと指摘するのは、三井UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員の細尾忠生氏だ。細尾氏のレポート「今月のグラフ(2022年2月) 米国のインフレをもたらした要因と今後の見通し」(2月4日付)のなかで、米国でインフレをもたらしている「物価」の内容を図で説明した=図表2参照

(図表2)米国でインフレをもたらしている消費者物価の内訳(三井UFJリサーチ&コンサルティング作成)
(図表2)米国でインフレをもたらしている消費者物価の内訳(三井UFJリサーチ&コンサルティング作成)

   それによると、「米国のインフレは、家賃、自動車価格、ガソリン価格、賃金それぞれの上昇と物流停滞という5つの要因が複合的に重なってもたらされている」。このうち、ガソリン価格はウクライナ情勢次第の不確定要素はあるものの、物流混乱は緩和の兆しが表れている。問題は賃金動向だという。

「5つのインフレ要因をみると、今がピークのものが多いが、賃金動向次第では、インフレ率が思ったほどには下がらないリスクが残ることには注意が必要である」

   こう指摘するのだった。

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