確定申告の季節がやってきました。とくにフリーランスの人にとっては、避けられない手続きです。ただし、手続きをしないと、さまざまな問題が生じます。とくに大切なのが「経費」の扱い。「この領収書は経費になるのか、ならないのか、どっちだっけ?」など悩む人が続出します。
『何も知らなくても大丈夫!フリーランスの税金と経費と確定申告』(脇田弥輝著)ソシム
経費とは何か?ちゃんと答えられますか
経費とは「売り上げにつながる支払い」のこと。「売上に必要な支払い」のことをいいます。経費で落とすというのは「経費になる」といいますが、必要でないものは当然、経費とはいいません。それは「出費」になります。
経費になるものとしては、仕入れや材料、文具や交通費などのほか、仕事に必要なレジャーや交通費も含まれます。仕事関係のオンライン飲みのお酒やおつまみも経費になります。車、自宅兼事務所、スマホ代、事業用に専用のものを持っていれば、これも全額経費です。
ここで大切なのが「家事按分」だと著者の脇田さんは言います。
「プライベートで併用している場合は事業で何割使っているか、割合をかけた分だけ経費にできます。これが『家事案分』です。土日も仕事するとか、長い時間、仕事をするなら、それに応じて計算します。副業は平日の夜、週末しかできないので割合は低くなります」(脇田さん)
「スマホ代は、ほぼ仕事に使っているなら、9割くらいは入れられるかな。そのためにも、税務調査になったときに『どういう理由で何を経費にしているか』を説明できるようにしておくことが大切です」(同)
仕事をするために必要そうな支払いでも経費にならないものがあります。それはいったい何でしょうか。脇田さんは次のようにいいます。
「保育園代は経費になりません。仕事のために預けるのになぜ? と思う人もいるでしょう。育児は家庭でやるものであって、保育料はその家庭のことをお願いしていると判断されるためです。ローンの支払いも経費になりません。未払い金が減るだけです。お金を借りたときに、お金は増えたけど収入にならないのと同じです」(脇田さん)
「ほかにも、家族で食べるご飯、実家への手土産や奥さまへのブランドバッグのプレゼント、仕事に関係のない人との飲み代、幼なじみの結婚式のご祝儀や美容院代、自分がする高価な腕時計なども経費にはなりません」(同)
確定申告の第一歩は整理整頓
私の経験上、確定申告の際には整理整頓が必須です。最初に、取引内容を示す書類、源泉徴収票、支払調書、所得控除書類を整理しなければなりません。メール等で送られてくる書類もありますが、全体を把握するには印刷しておいたほうが間違いは少なくなります。
会計ソフトは便利ですが、いくつか注意したい点もあります。たとえば、納品した場合(私の場合であれば記事や原稿など)、請求書を発行することなく入金がされることがあります。ソフト上では売上認識されますが、これは売上(成果物)から源泉徴収額をマイナスした金額です。自動設定している場合は、データを修正しなければなりません。
また、支払調書は発行義務がありません。取引先が税務署に提出するものであり受取者への発行は任意です。支払調書は絶対に正しいと思い込むのではなく、チェックするクセをつけたほうがいいでしょう。
確定申告の基本は「いつ、誰に、何のために、いくら支払ったのか」が説明できることです。確定申告の提出期限間際は非常に混みますので、今から準備しておきましょう。さて、私もいまから書類を作成しようと思います。
(尾藤克之)