海外メディア「日本のピークアウトはまだ」!? オミクロン株で露呈「時代遅れ」コロナ対策(井津川倫子)

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   オミクロン株の猛威が止まりません。

   日ごとに倍々ゲームのように増加する感染者数。これまでの常識を超えた数字に私たちの感覚もマヒしてしまいそうですが、とうとう、1日の新規感染者数が10万人の大台をこえてしまいました!

    南アフリカや欧米諸国の状況に周回遅れで追いつきそうな状況ですが、ここにきて、日本政府のコロナ対策に関する海外メディアの「辛口コメント」が目立ってきました。オミクロン株の影響で、「コロナ優等生」と称されてきたはずの日本評が、「ガタ落ち」の危機を迎えているようです!

  • 日本もブースター接種進めないと…
    日本もブースター接種進めないと…
  • 日本もブースター接種進めないと…

海外メディア「日本のコロナ感染、最悪の状況はこれからだ」

   思い起こせば、昨年(2021年)の第5派までは、日本のコロナ対策は「優等生」や「成功モデル」と評されていたはずです。欧米諸国と比べて比較的少ない感染者数や死者数だったことなどから、「日本すごい!」と受け止められていたようです。

   ところが、です。オミクロン株の出現で、海外の日本評にもかげりが見えてきました。ものすごいスピードで急増している日本国内の新規感染者。「先手先手のコロナ対策」との勇ましいかけ声とは裏腹に、医療現場のひっ迫を招いている日本政府の姿勢に、海外メディアから厳しい声が聞こえてくるようになりました。

Japan in turmoil over Omicron
(日本、オミクロン対策で大混乱:政治メディアThe Diplomat)
turmoil:大混乱、騒動、不安

Japan's policies have been strikingly successful but may now be outdated
(日本の政策は素晴らしく成功していたが、今や「時代遅れ」のようだ:政治メディアForeign Policy)
outdated:時代遅れの、古くさい

   日本の新型コロナウイルスによる死者数が、米国と比べて2%と相当低く抑えられていたり、ワクチン接種が「a slow start」(遅いスタート)だったけれど最終的に80%近くまで普及したりしたことなど、これまで「success」(成功)だと評価されてきた日本のコロナ対策が、オミクロン株の出現で一気に「outdated」(時代遅れ)になってしまったようなのです。

   海外メディアは、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位のワクチン3次接種(ブースター接種)率の低さや、相変わらず「三密」と「マスク」に頼った日本のコロナ対策では、オミクロン株の強力な感染力に太刀打ちできない、と批判しています。

   たしかに、一足先にオミクロン株の猛威にさらされた諸外国では、ものすごいスピードで3回目の接種を加速していました。英国やフランスでは「ピークアウト」の現象がみられると報じられていますが、ブースター接種率の低い日本と「同じ土俵」で比べてはいけません。

   海外メディアも、ブースター接種が遅れている日本は、「the worst is yet to come」(最悪の事態はこれからだ)と警告しています。日本の「ピークアウト」はまだまだ先のようです。

マスクをしていても感染...「マスク神話」だけに頼らぬよう

   「Foreign Policy」は、日本人の「マスク着用率の高さ」が、オミクロン株対策で後れを取った一因ではないかと伝えています。屋外でもマスクを着用する日本人の「マスク習慣」は、従来のコロナ対策には十分な威力を発揮したものの、強烈な感染力を持つオミクロン株に対しては、「マスク効果に頼りすぎたのではないか」と分析。加えて、「もっとブースター接種を加速すべきだ」と主張しています。

   こうした海外メディアの辛口コメントを裏付けるように、先日、オミクロン株はマスクを着用していても感染力が強い、という調査結果が報じられました。

   理化学研究所などの研究チームが発表したデータによると、「感染者と1m以内まで近づいてマスクをせず15分間会話をすると、感染確率は60%」と非常に高くなるだけでなく、「マスクを着用していても話し相手との距離が50cm以内にまで近づくと、最大で約30%の感染リスクがある」というから驚きです。

   オフィスでは、相手との距離が50cm以内で会話することなんて日常茶飯事。私もずっと「マスクをしているから安心!」と思って同僚やクライアントに接していましたし、ましてや、家庭内ではマスクをしないで会話することがふつうです。

   デルタ株までは、どうにか「マスク対策」や「三密回避」で乗り切ってきた私たちですが、オミクロン株は相当手ごわいようです。

   こうなったら、諸外国のようにブースター接種を加速させて、医学の力で乗り切るしか道はないのでしょうか。オミクロン株は、「マスク神話」を覆して、「outdated」(時代遅れ)にしてしまった感があります。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「outdated」(時代遅れ)を使った表現です。

This technique is completely outdated
(この技術は完全に時代遅れだ)

This guidebook is outdated
(このガイドブックは時代遅れだ)

The computer is outdated
(このコンピューターは旧式だ)

Your idea is outdated (君のアイデアは時代遅れだよ)

   昨年末にオミクロン株が初めて南アフリカで発見された時から、海外渡航者を制限する「水際対策」だけでは不十分だと指摘されていました。にもかかわらず、瞬く間にブースター接種を開始した諸外国と比べて遅れが目立った日本政府の対応。「outdated」(時代遅れ)なのは、日本政府そのものなのかもしれません。

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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