「鈍感な上司は部下を過労死に追い込む」
――回答者たちの圧倒的多くが「パワハラだ」「人事に訴えるべきだ」という意見です。川上さんは上司たちの主張や態度についてどう思いますか?
川上さん「仮に、上司たちが本気でおごれと要求しているのであれば、明白なパワハラです。議論の余地はありません。しかし、冗談のつもりで投稿者さんの反応を楽しんでいるのであれば、冗談が成立しなくなっていることに気づかない鈍感な上司たちだということになりますよ。
上司たちに悪気はないのかもしれませんが、得てして強い立場にいる者は、弱い立場にいる者の気持ちに対して、鈍感になりがちです。鈍感な上司は、仮に自分の言動が原因で部下を過労死などに追い込んだとしても、そんなことで死ぬとは思わなかった、などと言い訳することでしょう。自分たちの言動が危険性をはらんでいると自覚していないことが、大いに問題だと思います」
――非常に鈍感で、問題の多い上司たちだということですね。ところで、この上司たちの言い分を認めるわけではありませんが、一般論として「部下から上司をおごるケースもアリだ」という意見が少なからず寄せられました。最近は少なくなりましたが、お世話になったお礼にとして、上司にお中元を贈る場合もあるではないか、という意見もありました。
川上さん「お中元などは、上司と部下が円滑なコミュニケーションをとっていくうえで、互いに気持ちよく、健全な範囲で行われるのであればよいと思います。しかし、上司の心のどこかに強要する気持ちがあったり、部下に上手く上司に取り入ることで便宜を図ってもらおうとする気持ちがあったりするようだと問題です。
また、そういう気持ちがなかったとしても、会社関係者同士で不要な金品のやりとりをすることが、あらぬ癒着を疑わせる可能性もあります。昇進や昇給、人事配属などの利害関係がからむ間柄で、金銭を伴うやりとりは十分注意が必要です。李下に冠を正さずだと思います」