エアコン製造販売の富士通ゼネラルが2022年1月27日の東京株式市場で一時、前日終値比231円(9.3%)安の2244円まで下落した。
前日取引終了後に発表した2022年3月期連結決算の業績予想で、最終利益を従来予想より35億円減の95億円(前期比27.0%減)に下方修正したことが市場にネガティブサプライズを呼び、売りを浴びせられる格好となった。コロナ禍にあって巣ごもりの恩恵を受ける業界ではあるが、ここへきて海上運賃や材料部品価格の高騰が利益を圧迫している。
エアコンの海外売上高比率が高い富士通ゼネラル
まず、業績予想の内容を確認しておこう。
売上高は北米や欧州などの海外需要が概ね堅調なため、前期比16.8%増の3100億円で据え置いたが、各利益を下方修正した。営業利益は従来比40億円減の150億円(前期比19.9%減)、経常利益も従来比40億円減の150億円(前期比27.0%減)を見込んだ。製品は売れてもコスト高をカバーしきれないということだ。
ここで簡単に、富士通ゼネラルという会社をみてみよう。
同社は、富士通が発行済み株式の44.06%を保有する筆頭株主で、富士通の持ち分法適用関連会社にあたる。1936年創業の電機メーカーで音響製品やテレビなどを手がけていたが1984年に富士通の出資を受け入れ、徐々にエアコンメーカーに姿を変えて、現在にいたる。
エアコンメーカーは大阪のダイキン工業が国内トップ。富士通ゼネラルは、高砂熱学工業と2位争いをしているが、売上規模はダイキンが巨人すぎて、富士通ゼネラルはその1割程度というのが現状だ。
今ではエアコンが売上高の9割、情報通信・電子デバイスが残り1割で、エアコンの海外売上高比率は2021年3月期実績で73%、2022年3月期見込みで81%に達する。
タイや中国で製造し、北米や欧州、オセアニア、インドなど世界各地で販売するグローバル企業なのだが、その分、足元の海上運賃高騰に直面してしまっているのだ。