もし、ロシアがウクライナ侵攻したら...外国為替市場はどうなる?(志摩力男)

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開戦Xデー? 北京冬季オリンピック終了後

   もちろん、開戦に伴い、天然ガスの値段は急騰。原油価格も急騰します。1バレル=100ドルは瞬間的に超えることになります。それは日本経済には決して良くはありません。原油が1バレル=150ドルを超えてくるようになれば、円にも売り圧力がかかり始めるでしょう。

   株価は当初、世界的に下落します。「遠くの戦争は買い」などと、悠長なことは言っていられないでしょう。しかし、その結果FRBの引き締めがスローダウンもしくは中止するようなことになれば、株価は上昇に転じることになる。資源価格の急騰で、インフレは政治的に説明がつきます。

   オーストラリア(豪)ドル、ニュージーランド(NZ)ドルといった通貨は、米国株次第です。当初は、リスクオフで売られるでしょう。しかし、資源価格の高騰がこうした通貨を下支えします。

   開戦のXデーと、巷では騒がれるようになってきましたが、それは北京オリンピック(2022年2月4日~20日)終了後とみられています。個人的には、それはないだろうと思っていますが、マーケット的には勝手に侵攻リスクを織り込みに行く可能性もあるでしょう。2月20日が近づくにつれ、その数日前から、スイス・フランが上昇して、円もユーロ円を中心にして買われることになる可能性があります(侵攻がなければ、そのポジションは巻き戻されることになります)。

   以上はロシア軍が「大規模」にウクライナに侵攻したケースを想定しています。紛争が非常に限定的なものであるなら、影響は相当小さくなるので、当然市場の動きも違ってきます。米英ロ共に、紛争が長引くほうが、政治的に利益がありそうなので長期化もあるのかな、と。そしてポイントポイントで急激に侵攻リスクが高まったりするのでしょう。

   2014年のクリミア併合のときとは状況が違うと思いますが、今後もウクライナ情勢には注意してみていきたいと思います。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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