「株価反転に備え、冷静に下値を拾う局面に入った」
ここまで下がれば、「日本株が反転する時に備えるべきだ」と強調するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。石黒氏のレポート「日本株の自律反発に備える局面へ」(1月28日付)のなかで、「日本株の自律反発局面は近づいている」としてこう指摘した。
「中長期的な視点でみても、日本株は投資妙味が高まっている」「日本株の時価総額トップであるトヨタ自動車の2022年度の自動車生産計画が過去最高の約1100万台となる報道が伝わるなど、日本企業を取り巻く環境は決して悪くない」「長期的な視点に立てば、現在の日本株は業績面での割安感が強まっているといえ、株価反転に備えて、冷静に下値を拾う局面に入ってきた」
一方、こういう時こそ、目先の利益にとらわれず、「SDGs」(持続可能な開発目標)や「ESG」(環境・社会・ガバナンス)の観点に立った企業への投資に注目しているのが、りそなアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト黒瀬浩一氏だ。
黒瀬氏の「鳥瞰の目・虫瞰の目:新春レポート~2022年の市場見通しについて~」(1月27日付)によると、未曽有の政策転換の時期には、市場は不安定になりやすい。そのため、こういう時に大事なことは「『金融相場』から『業績相場』への転換だ」として、こう指摘するのだった。
「去年までのような株価の急上昇は見込みにくいものの、業績の拡大に応じた9%前後の安定的な上昇が見込まれる」「2022年は、この大きな変化に付いていけるかどうかで、景気拡大と株価が順調な国とそうでない国で明暗が分かれる」
つづけて黒瀬氏は、こうした変革期、さらにはアフターコロナの時代とあいまって、地球環境保護の機運の高まりを取り上げ、「企業は単に利益ではなく、ESGの観点での存在意義が問われる時代になっている」と、変革のチャンスを生かす企業に目を向けるのだった。
(福田和郎)