利上げよりもバランスシート縮小に注目
ヤフーニュースのヤフコメ欄では、ソニーフィナンシャルグループ・シニアエコノミストの渡辺浩志氏は「サプライズはありませんでした」としてこう指摘した。
「ただし、会見でパウエル議長が毎回のFOMCでの利上げの可能性を問われ、それを明確に否定しなかったことで、3月FOMC以降、年内最大7回の利上げを想起させるものとなりました。これがタカ派的と受け止められ、(中略)NYダウ平均株価は金利急騰を嫌気して下落に転じ、前日比129ドル安で終えました」
そのうえで渡辺氏は「FRBは『早く速い』機敏な正常化に傾斜しており、3月・5月の連続利上げと6月のバランスシート縮小(QT)決定の可能性が高まっています」と見る。
財務の状態を表すのがバランスシートだが、FRBのバランスシートはリーマンショック時(2008年)の深刻な景気後退への対応として、債券購入などにより資金を市中に大量供給した結果、急膨張している。
そのため、景気が拡大軌道に乗った現在、膨張したバランスシートを通常に戻す(=バランスシート縮小)ことがFRBの課題となっている。
バランスシート縮小は、金融引き締めと同様の効果があり、そのペースや規模が焦点になるわけだ。
また、日本経済新聞オンライン版(1月27日付)「FRB、3月利上げ示唆」につく「ひとくち解説」欄で、BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈氏も、利上げよりもバランスシート縮小に注目し、
「今回は、ペースは同じでもちゃんとやる、と宣言していることに加え、『3月の早い時期』に終了、と時期を明記。基本は再投資しないことでバランスシート縮小を図るつもりだが、売りオペも排除しない、と読める。そうなると、8月と考えていたバランスシート縮小は、思うより早まるかもしれない」
と、警戒感を示した。
パウエル議長の毅然とした「タカ派」姿勢に、改めて「インフレ退治」の強い決意を読み取ったのが、第一生命経済研究所の主任エコノミスト藤代宏一氏だ。藤代氏のレポート「『極タカ派』ではなく『タカ派』なFOMC 株価に配慮する素振りは見せず」(1月27日付)のなかで、こう書いている。
「サプライズはなかったが、やはりパウエル議長が利上げについてあらゆる選択肢を排除しなかったことはタカ派な印象を受けた」「インフレ対応を最優先課題としている現状、株価下落に配慮する姿勢、いわゆるパウエル・プット(株式市場に対する口先のサービス)は期待しにくい」「FED(米連邦準備制度)高官から金融政策の情報発信が多く見込まれるが、その多くは株式市場にとって心地よくないものになるだろう」