村田製作所株が6.5%安、主力商品の需要鈍化見通しによる格下げ判断で「売り」優勢

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   電子部品大手の村田製作所が2022年1月19日の東京株式市場で一時、前日終値比593円(6.5%)安の8547円まで下落し、約1か月半ぶりの安値となった。

   世界シェアの4割を握るとされる主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要が鈍化するリスクがあるとして、SMBC日興証券が同日配信のリポートで、投資判断を3段階で最上位の「1」から真ん中の「2」に格下げし、目標株価を1万2700円から9900円に引き下げた。これを受けて投資家が売りに動いた。

  • 村田製作所のMLCC、自動車のEV化で伸びるかも?(画像はイメージ)
    村田製作所のMLCC、自動車のEV化で伸びるかも?(画像はイメージ)
  • 村田製作所のMLCC、自動車のEV化で伸びるかも?(画像はイメージ)

「MLCC」はスマホやPC、自動車に搭載されている電子部品

   MLCCとは何かを語り出すと、本を一冊書くことになりそうなので簡単に確認しよう。

   MLCCはスマートフォンやパソコン、また近年電気で動く部分が大きくなっている自動車などに搭載されている電子部品だ。電子回路において一時的に電気を蓄えたり、不要な信号「ノイズ」を取り除いたりする働きをしている。

   村田製作所が世界シェアトップで、太陽誘電やTDKも存在感があり、日本企業が強みを持つ分野だ。特に村田製作所はMLCCに限らず、セラミックの材料から製造機械までコストをかけて内製化を徹底することで、他社が簡単に真似できない競争力を維持している。

   それでは株価に影響を与えたリポートをみてみよう。投資判断格下げ、目標株価引き下げの理由としてSMBC日興証券は、(1)2022年3月期の自動車用MLCCの業績を押し上げた、顧客の在庫積み上げ需要が2023年3月期に剝落すると予想する(2)パソコン向けMLCCに巣ごもり需要の減速が影響すると予想する――の2点を挙げた。

   自動車向けの在庫積み上げ需要というのは、メーカーが部品不足を見越して実需を上回る量を調達したことを指しており、その反動が来るとの見立てだ。SMBC日興証券は在庫積み上げによって需要が8%押し上げられたとの見方を示している。

   将来の需要の先食いということだ。

自動車のEV化で村田製作所の活躍する余地は大きい

   こうした取引先の部品確保策もあって村田製作所の2022年3月期連結決算の業績予想は、最終利益が前期比14.3%増の2710億円と過去最高更新を見込む。

   ちなみに、村田製作所においてMLCCを含むコンデンサー部門は、21年9月中間連結決算において売上高は全体の43.2%に及ぶ。

   もっとも、需要の反動減があったとしても、中長期的に村田製作所が成長を続ける可能性は十分にある。たとえば電動化が急速に進む自動車はMLCCを必要とする量も拡大する見通しで、村田製作所が活躍する余地は大きい。

   また、競争力あるMLCCなどで稼いだ資金をM&A(企業の合併・買収)やIT投資に振り向ける計画を21年11月に公表しており、そうした面からも期待されている。一時的に株価は軟調となるかもしれないが、そうした将来性が見えてくれば反転する可能性も小さくないと言えそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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