メタバースが半導体需要増やす
最後に、「週刊エコノミスト」(2022年2月1日号)の特集は、「需要大爆発 半導体」。メタバース(仮想空間)の到来やグリーン投資の必要性から、半導体産業は新しい成長ステージに入ったという。
これまで半導体市場をけん引してきた個人消費から、社会インフラなどの政府投資も加わり、半導体需要が飛躍的に増大するというのだ。インフォーマインテリジェンス、シニアコンサルティングディレクターの南川明さんは、「データセンターへの投資が増加する背景には、米国の巨大IT企業5社『GAFAM』のビジネスモデル変革がある」と指摘する。
これまでの広告収入を中心とした稼ぎ方から、インターネット上の仮想空間「メタバース」にAR(拡張現実)、VR(仮想現実)技術とサービスを組み合わせ、新たな収益源とする流れに変わりつつあるという。
相当のコンピューティング能力が求められ、先端ロジック半導体やメモリーの需要が想定以上に伸びていく可能性が高まった。
半導体市場でこうした動きが加速しているのは、新型コロナの蔓延でデータ需要が高まったことや、各国政府が進めるグリーン投資も影響を与えている。
あらゆるものがネットにつながる「IoT」が進むことで、自動車などが効率的に運用され、二酸化炭素の排出が抑えられることになるからだ。
IoTにはデータセンターが欠かせない。本誌で南川さんは、近い将来、小型のデータセンターが増える、と見ている。また、今後は産業機器で使われるアナログ半導体やパワー半導体、センサーなどの需要が拡大すると予測する。
台湾TSMCが熊本に工場を設立することが決まった。経産省から多額の補助金も出る。しかし、持ち込まれる製造技術は10年前の技術であり、日本のためにはならない、と服部コンサルティング・インターナショナルの服部毅代表は警告している。
「メタバース」は、「週刊東洋経済」も特集している。あわせて読むことで、理解が深まった。
(渡辺淳悦)