FRBの決定は「コインの裏表」を当てるようなもの
FOMCはどんな姿勢を打ち出すだろうか――。「コインの裏表を当てる感覚に等しい」と難しさを指摘するのは、第一生命経済研究所の主任エコノミスト藤代宏一氏だ。藤代氏のレポート「パウエル・プットは期待できない1月FOMC」(1月24日)のなかで、市場に流れているさまざまな推測を分析する。
ちなみに、「パウエル・プット」の「パウエル」とはパウエルFRB議長のこと。「プット」とは金融保険用語で、株価の下落局面での保険のことだ。
これまでパウエル議長は、株価が下落しそうな局面になると、否定的なコメントを出し、ウォール街を救ってきた。だが、今回はそんな甘い発言は期待できそうもない、という意味だ。
藤代氏はこんな厳しい予想を次々と紹介する。
「数か月前までなら『トンデモ予想』に分類されていた極タカ派な声も聞かれており、タカ派方向へのサプライズを否定することはできない」「『年4回以上』の利上げが示唆される可能性に注意したい」「2000年以降の利上げサイクルにおいて封じられてきた0.5%の利上げを敢行することは金融市場への悪影響があまりに大きく非現実的な選択肢と考えられるが、一部市場参加者は0.5%利上げを意識しているようだ」
0.5%利上げ説については、藤代氏もあり得ないことではない、と指摘する。
「その可能性は極めて低いと判断しているが、即効性のあるインフレ対策を求められているFED(連邦準備制度)がそうした過激策に触手を伸ばすことは否定できない。もう一つ考えられるのは3月に次いで5月の利上げを同時に示唆することだ。『インフレ集中対応』として年前半の引き締め幅を大きくすることには一定の合理性があり」「0.5%利上げよりは実現可能性の高い選択肢だろう」
いずれにしろ、FRBの「コインの裏表」はコインをトスした後でなければわからない。