習近平が目指す「社会主義現代化強国」とは?
リコー経済社会研究所主任研究員の武重直人氏も、習近平総書記の「永年独裁」体制が最終章に近づいており、中国経済の活力を奪ってしまうのではと懸念する。
武重氏のレポート「習総書記が3期目続投、『永年支配』へ=今秋党大会で毛沢東時代に回帰?=」のなかで、習氏は、鄧小平が掲げた「集団指導体制」を壊し、2037年ごろまで5期連続で党トップにとどまり、習氏が長期ビジョンとして掲げる「社会主義現代化強国」を目指していくのではないか、と推測している=図表参照。
習氏が目指す「社会主義現代化強国」とは何か。武重氏のレポートには、
「2021年7月、習は鄧の掲げた小康社会(=ややゆとりある社会)の達成を宣言し、新たな段階を迎えたことを内外に印象づけた。さらに鄧の『改革開放』『先富論』(=豊かになれる者から先に豊かになる)に代わって、習は『新時代』『共同富裕』(=格差解消)を新たなキーワードとして打ち出した」
「習は行動でも示した。電子商取引最大手のアリババ集団や不動産開発大手の恒大集団など大資本家への規制を強め、資本家の活用で市場経済を推進した鄧小平時代からの転換を鮮明にした」
とある。こうした路線を進めるために、政敵の封じ込めや、党の政策を政府機関に浸透させる組織の格上げなどを着々と行っているという。